
夏休みの宿題、何作ればいい?
小学校の夏休みの課題(提出物)は、絵画や習字・自由研究などあります。今の時代、工作キットもたくさん売られていますがどれが子供に一番人気で勉強になるのか…?

どんなのを作りたい?
習字とかでもいんじゃない?
将棋の本を読んで感想文は?
工作キット一覧をみると、ソーラーパネルカー、プログラミングロボットなど親世代の時にはなかった工作キットが人気らしいのですが、アイスの棒みたいので作るログハウスや小物入れの作成など昔ながらのもあります。習字や読書感想文が簡単で早い気もしますが…

何か作ってみたい!
将棋少女の学校(県全体?地区だけ?)では、まだプログラミングの授業が始まっていません。大学入試の共通テストでも「情報」科目が始まり大学受験にもプログラム知識は必須の時代に。とはいえ、小学校の最初の授業はプログラミングといってもギアとギアの絵を動くように合わせる「組み合わせて動く仕組みを知ろう」的なもので「Hallo World」的なものはないらしいので少しずつ覚えてみようとなりました。
自作パソコンとは

工作キットのプログラミングロボットを購入しようとしたら、「ロボットがかわいくない」ということで却下に。この辺は女の子ですね。その感覚がわかりません。
工作キットのロボットは、①ロボットを組み立てる、②プログラミングする。とハードウェアとソフトウェアの両方に触れることができるのが良い点。どこかにその両方を勉強できるものはないか…

10年ぐらい経ったからそろそろ新調する時期かな?

?

パソコンを作ります
ということで、家でパソコンを作らせてみることにしました。ドスパラさんや富士通の親子パソコン組み立て教室とかが近所にあればいいのですが、残念ながら県内にはありません。パソコンを組み立てた後はVBやC言語(C++、C#)、今だとPython等のプログラム言語を教えます。
さて、将棋の世界において最新パソコンを用意するというのは必須になってきている話をききます。プロ棋士の藤井聡太先生をはじめ、渡辺明先生や伊藤匠先生も最新の超高性能パソコンで研究しているそうです。
プロ棋士の世界で多く使われているCPUは、AMD製CPU『RyzenThreadripper』(ライゼン スレッドリッパー、通称スリッパ)。CPU単体でも100万円、パソコン総額では200万円以上になったりする超高性能パソコン。
究極的な強さを追い求めるのであれば最新パソコンを用意するというのはマストですが、まだまだ級位者の子供には必要ないのでは? というのが私の見解。それよりも、自分の頭で考えて失敗を繰り返す事がのちの成長に繋がるのではと思います。
将棋を覚えて数年。将棋少女は、まだ級位者のまま。小学生低学年のうちに、二段・三段と駆け上がっているプロ棋士を目指している子たちとは、比べようがないほど才能がありません。なので、今回は工作・組み立てを楽しもう作戦。
自作パソコンは、自分でパソコンを組み立てると既製品を購入するより安く性能が良いパソコンを手に入れることができて、ハードウェアの知識もついて、将来パーツのアップデート・拡張をしたい時の自由度が高くなるというメリットがあります。
それに、もしかしたら機械系やプログラム・情報系への意識が芽生えたり?
古い考えかもしれませんが、手に職をつけて将来に備えてほしいとも考えます。どんな道を選ぶのかわかりませんが、とりあえず楽しかった工作になるよう準備します。
自作パソコン パーツ選定

パソコンを組み立てる(自作パソコン)といっても難しいことはなく、決まった場所に決まったパーツをセットするプラモデルのような感じです。プラモデルを作ったことがない将棋少女には、まったく伝わらなかったのですが…まぁそんな感じです。
パソコンの主な部品は
- CPU
- マザーボード
- メモリ
- HDD(SDD)
- GPU
他には、CPUクーラー(場合によってはCPUガードも)、電源、それらを入れるパソコンケース等。昔はパーツの相性問題等もありましたが、近年ではあまり聞かなくなりました。動作確認済みの組み立てキットも販売されているので、パソコンを自作するハードルはかなり下がった印象。
また、最近はゲーミングパソコンとして高性能パソコンを光らせるのが流行していますが、光らせない基本的な構成でいきます。
(完成後のパソコンケースにお気に入りのシールを貼ることは許可)

CPUとメモリーは知ってる
簡単なパソコンパーツ解説をしようとすると、学校では図書室の主になっているそうで、その中に「パソコンの部品を知ろう」的な本があったようです。メモリーやCPUといった単語は知っていました。それなら話は早い。と、早速実物を見せて大まかな説明をしてパソコンの組み立てに取り掛かります。
CPU
CPUは、パソコンの頭脳。どれだけ速く計算できるかはCPUの性能に左右されるのでかなり重要な部品です。主にIntel製とAMD製があります。
メモリ
メモリは、机の広さに例えられます。教科書やノートに辞典、筆箱にメモ帳等など机が広いと作業も捗ります。パソコンも同じで、ゲームをしながら音楽や動画を再生したりと一度に複数のアプリを実行する際に滞らないようにメモリは多い方が良いのです。
HDD/SSD
HDD(ハードディスク)は、よく机の引き出しに例えられる部品。写真や動画、棋譜などのいろんなデータを保管しておく場所。データ保管には大容量で安価なHDDが採用されることが多いです。
保存できる場所は、SSD(ソリッドステートドライブ)というのもあります。HDDよりもかなり高速な為、OS(オペレーションシステム)やゲーム、アプリなどの起動には採用される事が多いのがSSD。ただし、HDDよりも高速な分、お値段は高め。
マザーボード
CPU、メモリ、HDDや電源などを接続してパソコンとして動作させる基盤がマザーボード。ATX、MicroATX、mini-ITX等いくつかの規格がありますが、標準的なATXを選択。
CPUソケットの形状で搭載できるCPUが決まってしまうので、使いたいCPUとセットで検討する部品です。今回のCPUはRyzen9と決めているのでソケットはAM5。メモリ代やCPU代を抑えるのであれば、1世代前のAM4・DDR4も選択肢に入ります。
パソコンパーツを取り付けるのが主要な各パーツの説明が終わったところで、マザーボードに部品を取りつけていきます。
初めてのパソコン組み立て(自作)
それでは、将棋少女のはじめての自作パソコンの組み立て開始。
マザーボード開封

マザーボードは、MSIの『B650 Tomahawk(トマホーク)』
CPUにRyzen9を使用するということは、コア数もかなり多くなり電源周りや放熱冷却関係にも安定度が求められます。Tomahawkには、80A対応SPSを採用した14+2+1フェーズ構成VRAM搭載されているのでRyzen9でも安心です。
黒一色のカッコいいモデルてすが、一部の将棋民にトマホークという名前が刺さりそうです。
(最新のB850チップ搭載もありますが、節約のために一世代前のB650チップ)

黒一色、カッコイイでしょ?

…
どうも将棋少女にはこのカッコよさが伝わりません。
将棋においては、穴熊を咎める作戦の名前。穴熊を組まれる前に壊す作戦らしいのですが、穴に入った熊さんに届かないで負けている将棋少女もそろそろ覚えなければ?
CPUの取付け

CPUは、藤井聡太先生の愛用パソコンと同一メーカーAMD社製。とはいえ、藤井聡太先生のRyzenThreadripper(スレッドリッパー)というCPUは高額すぎて手がでないので(100万円以上)、一般的なCPU Ryzen9 9900X (12コア24スレッド)にします。
家に転がっているCeleronで練習させてから、いざCPUをセット。
CPUのピンがひとつでも折れたら起動しないので、一番注意する点だったりします…

(ガクブル)
CPUガード

最近のAMD社製CPU:RyzenはCPU形状が特殊な為、CPUグリスの液垂れの可能性があります。それを防止するために(+少しの熱放熱性UP)、CPUガードを装着します。過去のAMD製CPUやIntel製CPUは普通の形状なので、現行Ryzenだけかもしれません。
CPUグリス

またCPUからの熱を効率よくCPUクーラーに伝えるためにCPUグリスを塗ります。CPUグリスにも多くの種類がありますが、今回は熱伝導率に優れるナノダイヤモンドグリスDX2を9点塗り。
CPUクーラー

パソコンの重要パーツであるCPUはかなりの熱を発しますので、パソコンの性能を最大限引き出し安定させる為にも、CPUからの熱を効率的に排出して冷やす必要があります。
その冷却パーツの最重要なのがCPUクーラー。空冷と水冷がありますが、今回は空冷を選択。
CPUクーラー空冷最強と称されていたAssassinⅣ(アサシン4)を検討していましたが、それを超える冷却性能と聞いた噂のCPS製RZ820を準備。フロントに高さ調節可能な150mm×120mmFAN、中央には着脱可能な140mmFANを装備。対応TDPは脅威の290W。8本のヒートパイプと美麗なフィンスタック、航空宇宙グレードのアルミニウム合金カバーが映えます。
また、このクラスのCPUクーラーはかなりの大型になりますのでケースへの干渉に注意です。
(RZ820は大型クラスの中でもFAN音が大きめ)

さっき塗ったグリスの上に
CPUクーラーを載せてごらん

重い・・・
メモリ取り付け

CPU関連の次は、メモリの取り付け。今のゲーミングパソコンだと光るメモリ搭載も珍しくないかもしれませんが、安定性と値段で光らない2枚組CORSAIR(コルセア)VENGEANCE DDR5 64GBメモリ。アルミニウム製ヒートスプレッダ付き高速DDR5の高周波数5600MHz(のちに増設で128GBも)
自作パソコン初心者の将棋少女には、2枚一組で使うと速くなると簡単に伝えます。

向きを合わせてカチッと音がなるまで押すだけ

カチッ!
また、大型のCPUクーラーは大きすぎてメモリに干渉する場合もあります。放熱性を高める為に、メモリにヒートスプレッダを装着する場合も多いので尚更注意が必要。今回取り付けたCPUクーラーRZ820は、メモリとの干渉を避けるためにフロントファンの高さを調節できるのもポイントです。
SSD

OSをインストールするM.2 SSDを接続。
選択したSSDは『WesternDigital Black』。Play stationのSSD交換でご存じの方も多いかと思います。Play station5(4)のSSDを純正から交換することで起動が爆速になると推奨されているもので、もちろんパソコンの起動も超速になります。M.2 SSDの取り付けは、マザーボードの決まった場所に固定するだけなので簡単です。
棋譜などのデータを保管するだけなら、速度をあまり必要としない安価で大容量なHDDが適しています。
GPU

GPUとはグラフィックボードと呼ばれるもので、主にゲーミングパソコンなどで必須のパーツ。高速で美麗な映像処理を専門とする部品なのですが、近年将棋の研究でも大活躍のパーツとなっています。
将棋ソフトで研究をする場合、NNUE系とDL系に分かれます。NNUE系は、CPUで計算させる評価関数で終盤に近付く・手が狭くなる局面ほど読み抜けが少なく強い。対してDL系は、GPUで計算させる評価関数で手が広い序・中盤(大局観)に優れています。
なので、本格的にパソコンで将棋を研究するとなるとCPUとGPUの両方で計算させ比較する必要があります。
ゲームやクリエイティブな仕事をするわけでもなければ必要ないのと、最近だとAI関連でもGPUは必須でかなり高騰しているため、最新のGeForce5090(5000番台)の購入は保留しています。
小学生の女の子なので将棋の研究には使えないですが、二画面出力やレンダリングには使うかもしれないということで、少し古いですが家の片隅にあったNVIDIAのGeForce1080を装着。

また、GPUはかなり大型で重い部類のパーツになるのでステーを使うこともあります。今回は、AntecのGPUホルダーを使います。
電源選び
パソコン電源で知っておきたい知識として電力交換効率があります。
パソコンに搭載した部品(CPUやGPU、メモリやHDDなどの各種ドライブやFAN)を動かす為にコンセントから電力を供給しますが、その際にロスが発生します。
| 電力変換効率 | |||
| 負荷率 | |||
| 20% | 50% | 100% | |
| 80PLUS PLATINUM | 90% | 92% | 89% |
| 80PLUS GOLD | 87% | 90% | 87% |
| 80PLUS SILVER | 85% | 87% | 85% |
| 80PLUS BRONZE | 82% | 85% | 82% |
| 80PLUS STANDARD | 80% | 80% | 80% |
上記の表のように、電源ユニットは負荷が50%になった時に最も電力交換効率が高くなるように設計されています。そのため、システム全体の最大消費電力の倍の容量の電源を選ぶのが最善手。
ということで、初めての自作パソコンに搭載する電源はCorsair(コルセア)のHX1000iプラチナ。パソコンで将棋の研究となると長時間稼働させることが考えられるので安定性も求められます。日本メーカー製105℃電解コンデンサで、過酷な環境下にも耐えるサーバグレードの品質設計と各種保護回路を採用している高出力と安全性を確保したハイエンド電源。PLATINUMグレードで電力交換効率も優れていて10年保証があるのも決め手です。
少し難しく感じるかもしれませんが、とりあえずシステム全体の消費電力の倍の容量で80PLUS GOLDを選択しておけば大丈夫だと思います。
(消費電力=400Wならば 容量800Wの電源)
パソコンケース

上記のすべての部品を格納するパソコンケース。最近は光るパソコンケースや、曲面ガラスで中を魅せるケースも増えていますが、古いパソコンケースを引っ張り出して格納します。
Fractal Design(フラクタルデザイン・スウェーデンのハードウェアメーカー)のDefine5。静音性が非常に優れているパソコンケース。発売当時、パソコンケースランキングで1位を独占していた記憶がありますが、まだまだ現役で使えます。
冷却性が求められるパソコンで静音性に特化したケースはどうなん? という声が聞こえてきそうですが、どうせ夏になったら側面開放して扇風機冷却したら同j…
OSインストール
最後にOSをインストールして終わりです。
OS(オペレーティングシステム)は、パソコンを動かすための基本となるソフト。OSには、軽快なLinuxもありますがより一般的なWindowsを選択。最近のOSは、USBメモリからのインストールの場合もあります。。フロッピー時代から考えると随分様変わりしましたが、基本インストール終了するまで待つだけなので何も難しいことはありません。

はじめての自作パソコン 完成
| 将棋少女の自作パソコンスペック | |
| マザーボード | MSI MAG B650 Tomahawk WIFI |
| CPU | AMD Ryzen9 9900X |
| GPU | MSI Geforce1080 |
| メモリ | CORSAIR VENGEANCE DDR5 64BG → 128GB |
| HDD/SDD | WesternDigital Black SN770 |
| CPUクーラー | CPS RZ820 |
| 電源 | Corsair HX1000i PLATINUM |
はじめての自作パソコン ベンチマーク

無事に起動できたのでベンチマーク。
パソコンの性能を計測するベンチマークテストは多数ありますが、ゲーム関連のベンチマークスコアは様々な媒体で公開されているので割愛して将棋ソフトでの計測のみ。
CPUとNPSの関係については、前にこちらで少しだけ解説しましたが簡単にまとめると『コア数が多いCPUに処理してもらうと短い時間で計算してくれる』というもの。
本格的に将棋を研究しようとすると、分岐の分岐の分岐…のさらに分岐とそれぞれに膨大な時間がかかります。スペック差によっては、知りたいその先の1手を知るための時間を数時間短縮できることも珍しくありません。
10年程前のパソコンとどれほどの差があるのか…比べてみると、一目瞭然。藤井聡太先生をはじめプロ棋士の方々が使用しているRyzenThreadripperとは比較にはなりませんが、それでも一般的なCPUでもこれほどの差が確認できます。
| 指定局面 | |
| CPU | 30億手を読む時間 |
| ryzen9 9900X | 1分43秒 |
| i7 8700k | 7分58秒 |
| i5 6500 | 20分20秒 |
| ryzen5 4500U | 16分06秒 |
| i7 7700HQ | 17分27秒 |
| core m3-7Y30 | 60分04秒 |
はじめての自作パソコンを組み終えて

いくつかのパーツを安く入手できるまで待っていたので、全部の部品が揃うまでに時間がかかり夏休みは終わってしまいましたが、なんとか初めての自作パソコンの組み立ては完成できました。
全てを最新パーツとはいかず、少し古い部品で組んで飾りはないし光らないしシールは貼ってないしで、子供には面白みに欠けるパソコンかもしれませんが、自分好みにバージョンアップしていけるのも自作パソコンの楽しみの1つ。

どうだった?

CPU怖い

でも、メモリは簡単だった。楽しかった!
楽しめたようで何より。文章にすると少し長いように感じますが、部品さえ揃っていれば小一時間で組み立てできるので意外と簡単です。

早速出来上がったパソコンで遊ぶのは、『詰め将棋コレクション』
詰め将棋をするだけならば少しオーバースペックかもしれませんが^^;
今回は、パソコンが必要となった時に自作するという選択肢を楽しみながら選べるよう勉強した1日でした。パソコン自作に限らず『自ら行動する』という意識をもって日々を過ごしてくれたらと思います。
次にパソコンを自作するのは10年後でしょうか? その頃には新しい規格ができていたり自作パソコン界隈のトレンドも変わっていそうてすが、基本的な組み立て方はきっと変わらないはず。

AMD? Intel?
少しだけコアな話ができるようになるかはわかりませんが、将来パソコンショップの部品売り場の前で固まっている将棋少女を見かけましたら、何卒優しめの会話を宜しくお願いいたします。
(尚、学校用の作品は『観覧車(工作)』と『習字』になりました。)
