猛暑日が続く夏。
将棋少女の県でも毎日が暑く、気象庁の発表では観測史上初めて7月の平均気温が30度を超えて扇風機では耐えるのが難しい気温の中、地域大会を経て運よく東京の大会に出れることになりました。

都会の方は…気温40℃あるって

え…?
普段は家で詰め将棋しかしてない将棋少女は、将棋(対局)について極端に知識がありません。1、2ヵ月に1回、どこかの将棋大会等に連れていきそこで数局対局してる程度です。そのわずかな経験ではもうどうにもならないぐらい周りとの差が広がり、(将棋少女本人にとって)序盤からわからない局面があらわれ手が止まってしまう。結果、一方的に時間がなくなり何もできないまま負けるというのが最近のパターン。

横の歩をとるやつ(横歩取り)、全然勝てないね。
最初に角道あけないで飛車の先を突く(相掛かり)のにする?

でも、(相掛かり)ほとんどやったことない。

ん~?

ん~?
ちなみに将棋少女の直近3大会の結果は、
- 成り間違いによる反則負け1回戦敗退
- 切れ負けによる1回戦敗退
- 2連敗での予選落ち
と芳しくありません。

女の子は振り飛車が多くて居飛車はあまりいないって聞くし、飛車先をどんどんついてくる(相掛かり)のとはそうそうあたらないんじゃない?
振り飛車の練習をしようか!

うん
こんな感じの作戦会議で特訓を開始。数回教えてもらっただけではすぐには強くなれないのもわかっていますが、少しだけでも…と、お兄さん先生に見てもらいました。
全国大会では何回泣きますでしょうか? ^^;
マイナビ出版杯小学生女子将棋名人戦とは

マイナビ出版杯小学生女子将棋名人戦とは、日本女子プロ将棋協会(LPSA)が主催・マイナビ出版が協賛している小学生女子限定の将棋大会で、全国各地の予選大会から全国大会へと繋がっている全国の小学生女子の憧れの大会。
小学生女子将棋名人戦からは多くの女流棋士を輩出しており、最近だと第16回優勝者の竹内優月先生、第17回優勝者の岩崎夏子先生が女流棋士になっています。また、マイナビ出版杯小学生女子将棋名人戦の決勝トーナメントを勝ち抜き最後の決勝戦まで進むと、袴姿での対局もできるという特典もあり女子の大会として非常に注目されている大会でもあります。
全国大会の会場は、東京にある『傳通院』。徳川家康公は囲碁将棋を愛好、家元には幕府から俸禄が支給されている時代があったそうです。傳通院は、その徳川家とのゆかりが深い女人寺と知られ、今では将棋教室も開催し将棋の普及にも力を入れているお寺です。
| マイナビ出版杯小学生女子将棋名人戦 | |
| 日時 | 8月17日 10時30分 |
| 会場 | 傳通院 |
| 大会内容 | 予選:2勝通過 2敗敗退 決勝:トーナメント |
| 参加資格 | 全国各地の予選会で選出された選手 |
| 特典 | 袴姿での対局(決勝戦) |
| 小学生女子将棋名人戦 歴代入賞者 | ||||
| 年 | 回 | 優勝 | 準優勝 | 3位 |
| 2024 | 18 | 佐原志依(静岡・6) | 飯塚紗英(福岡・6) | 髙橋一花(福島・6) |
| 2023 | 17 | 岩崎夏子(東京・6) | 華房永茉(愛知・6) | 佐原志依(静岡・5) |
| 2022 | 16 | 竹内優月(東京・6) | 華房永茉(愛知・5) | 堀 月乃(奈良・6) |
| 2021 | 15 | 堀 月乃(奈良・5) | 岩崎夏子(東京・4) | 竹内優月(東京・5) |
| 2020 | 14 | 横村日和(群馬・6) | 華房永茉(愛知・3) | 木村朱里(滋賀・6) |
| 2019 | 13 | 梅津美琴(東京・6) | 木村朱里(滋賀・5) | 鎌田美礼(茨木・5) |
| 2018 | 12 | 砂原 奏(千葉・6) | 松下舞琳(熊本・6) | 佐々木香歩(静岡・6) |
| 2017 | 11 | 松下舞琳(熊本・5) | 山田朋佳(東京・5) | 中澤秀佳(神奈川・6) |
| 2016 | 10 | 鈴木千尋(熊本・6) | 佐々木海法(大阪・6) | 岩佐美帆子(岐阜・5) |
| 2015 | 9 | 小野花依(埼玉・6) | 森本理子(愛知・6) | 野原未蘭(富山・6) |
| 2014 | 8 | 大城千花(静岡・6) | 磯谷祐維(岐阜・6) | 渡邊早紀(千葉・6) |
| 2013 | 7 | 和田はな(埼玉・6) | 礒谷真帆(千葉・6) | 上田可奈子(京都・6) |
| 2012 | 6 | 今井 絢(愛知・5) | 和田はな(埼玉・5) | 九反萌子(福岡・5) |
| 2011 | 5 | 今井 絢(愛知・4) | 倉林薫子(神奈川・6) | 麻生佳奈(大阪・6) |
| 2010 | 4 | 今井 絢(愛知・3) | 石本さくら(大阪・6) | 永井さくら(埼玉・6) |
| 2009 | 3 | 中 七海(兵庫・5) | 新藤春実(群馬・5) | 山根ことみ(愛媛・6) |
| 2008 | 2 | 中 七海(兵庫・4) | 瀬戸川智香(長崎・6) | 新藤春実(群馬・4) |
| 2007 | 1 | 新藤仁奈(群馬・6) | 北村桂香(京都・6) | – |
はじめてのマイナビ出版杯小学生女子将棋名人戦

8月中旬、東京にて小学生女子の全国大会に参加するため上京。
全国各地の地区予選を勝ち上がり小学生女子の最強の座をかけて集まった将棋少女たちが集まります・・・が、田舎から出てきた親子は早速道に迷います。周りを見ても高いビルばかりで、どこに何があるのやら?

ビルだらけ…
不安になりながらウロウロしていると1人の女の子を発見。将棋大会でみたことがある中学生の子だったので道が合っているか聞いて無事に辿りつけました。ありがとうございます。
大会会場 傳通院に到着

マイナビ出版杯小学生女子将棋名人戦は、東京の傳通院で行われます。
傳通院の境内に入り左手の繊月会館で受付。そして、本堂の下の控室に案内されます。控室には、東京や大阪はもちろんのこと藤井聡太七冠の地元である中部・北陸や、北海道、九州、中国、四国と全国から集まった代表の子たちがいて緊張感が漂う雰囲気。
将棋少女は、普段から気弱な性格なため怖がります。本当に勝負事に向かなくて、頭の中がパニックになってこれまで何度も反則負けを繰り返しています。そればかりか、怖くて対局場に入れずに帰ったこともあります。

…
せめていつも通りにと詰め将棋の本を読ませてリラックスを図りますが…
小学生女子将棋名人戦予選 繊月会館
記念写真の後、スタッフの誘導で選手は繊月会館に移動。残された親は不安になります。
駒を落としてないかな? 二歩しないかな? そもそも内気で臆病であまり人と話さない子です。一人で大丈夫かな? 将棋の事はわからないけれど、せめて負けた時は側にいてあげたい。それに…きっと泣く。
心配で胃が痛いのですが…

(繊月会館の)中で観戦できますよ!
今回も先輩親将さんに教えていただきました。ありがとうございます。

繊月会館に急いで向かうと、小学生と中学生が左右に分かれて準備が終わり対局開始されるところ。左側の隅には、既に俯いて暗い表情の将棋少女。
号令とともに、小・中学生の部が一斉に対局開始。ほとんどの対局で勢いよく駒音がなりだしましたが、将棋少女は早くも一瞬手が止まります。

あ…
お相手の子は6年生のとても強そうな子で、…飛車先を突いてきました。
初戦で早くも父親の予想ははずれ、大会までの短い時間をほぼ特定の対振り飛車の練習をしてきた将棋少女はぎこちなく飛車先を突きあいました。角道をあける事もできたのに、不慣れな飛車先を突くことを選択。そして、歩交換で下げる飛車の位置の違いもわからないままに負けてしまいました。

何もできなかった…><

ごめんね…最初から居飛車になったね…

ぐすっ

でも、なんで角道あけないで飛車先を突いたの?

覚えなきゃと思って…
えらい。でも、新しい事に挑戦することは明日からでいいかな~^^;

もう終わり?

次負けたら終わり。また飛車先突きあってもいいし、なにやったっていいよ。
頑張れる?

うん! 行ってくる。
将棋少女は、次に向かいます。
半分泣いていましたが、この後の対局はもしかしたら今年一番集中できていたのかもしれません。もう後がない状態から1度も盤から目をそらすことなく2連勝し本戦へ進む事ができました。
昼食休憩

お昼休憩に『直火焼きステーキハンバーグ弁当』が配布されました。将棋大会のお昼は買い出しにいくことが多いのですが、地理のわからない土地ですぐ食事につけるのは助かりました。お味のほうもとてもおいしくボリュームも満点。
休憩場・対局場所(繊月会館含む)は、お寺パワーなのかそれほど暑さを感じることなく快適な気温でしたので、都会の8月ということで用意した冷却グッズは使いませんでした。また、徒歩1分のところにコンビニがありましたので、何か補充したいものがあってもすぐ補充できる点も安心です。
昼食後も少し時間があるので、周りには詰め将棋したり本やスマホを片手に勉強する子たちの姿。
将棋少女は、夜行バスの疲れなどもあってお昼寝をすることが多かったのですが今回はそうもいってられません。何もできなかった相掛かりを少しでも修正しなければと二人で復習。といっても素人の父親なので、飛車をどこに引くかのメリット・デメリットもうまく説明できず四苦八苦します。
小学生女子将棋名人戦決勝 傳通院本堂

決勝トーナメントは傳通院の本堂で行われます。階段を登り本堂あがると一瞬入るのをためらってしまうほどの厳粛な雰囲気に恐る恐るくぐります。案内された場所に座ると、そこで対峙した女の子は見覚えがある女の子。
以前、別の大会の1回戦で将棋少女が床に駒を落としたりして時間切れ負けした対局があり、その時の女の子です。お相手の子は強かったので、床に駒を落としたトラブルがなくても将棋少女が負けていたのでしょうが、二歩したり成り間違いしたり反則負けが多い将棋少女の対局の中でもトラウマ級の敗戦。
それを引きずっているのかこの場の雰囲気からなのか、いつになく緊張している硬い表情の中で対局が開始されました。
対局の戦型は、開始早々横の歩を取る横歩取りという形に。そして、すぐに将棋少女の手が止まり時間がなくなっていきます。一所懸命に考えて、または思い出して手順をなぞろうとするも…時間差は広がる一方。
対局時計の残り時間は『1分 対 13分』
横歩取りは真剣勝負。一歩間違えれば崖から落ちる綱渡りの将棋と聞きます。そんな状況を秒読みで耐えられるわけもなく、時間がなくなってからは一方的に負けてしまったように見えます。
(機器トラブルなのか棋譜が記録されてなく、対局後に二人で記録係の人に伝えながら棋譜を作り直していましたので、実際の持ち時間は将棋少女の大差負けでした)
お相手の子は、とても強くて終始落ちついていました。一方、将棋少女は頭の中で綱渡りの手順を思い出しながら進めようとするも、秒読みで焦り綱から落ちてしまった。知識、練習量、定着度などすべてで負けた対局のように感じました。

負けた…間違えた…

うん、見てたよ。頑張ったね
負けて振り返った将棋少女に、この一言を伝えるためにいつも後ろにいます。
こんなことをいうと将棋関係者の方には怒られるのかもしれませんが、親の都合で普段対局ができない娘はこの舞台にこれただけで十分に頑張りました。例え予選落ちしていたとしても誉めてしまいます。

袴着たかった…
それはそれとして、将棋少女の目標は別のところにあったらしく泣いてしまいます。中学生・高校生・大学生の大会で袴を着れるチャンスがあるのか将棋初心者の父親にはわかりませんが、少し調べてみようと思います。
小学生女子将棋名人戦 詰め将棋大会?

本堂での決勝トーナメント敗退から繊月会館に戻ってくると詰め将棋ミニ大会?が開催されていました。3手詰めあたりから13手詰めぐらいまで出題されていたらしく、将棋少女もパタパタと駆けよります。
吸い寄せられるように途中参加し、一桁の詰め将棋はすでに終了していたので11手と13手詰を解くとスペシャル問題の19手詰め?が出題されました。

むー
むーむー言いながら30分程かけてご褒美に詰め将棋の本をもらい、詰め将棋の看寿賞を受賞している岸本裕真さんにもお会いでき、詰め将棋についてのお話もできました。

(詰将棋解答選手権の)点数ふやせるね!
この熱意を対局にも向けて欲しいのですが、元気がでたようで何より。
大会を終えて

今回は、マイナビ出版杯小学生女子将棋名人戦に参加してきました。
全国から各地域を勝ち抜いた小学生女子最強を決める大会。『袴を着たい』という目標をこっそりもっていましたが、届かず泣く結果となりました。同年代の女の子に手も足も出ない結果は相当ショックだったらしく、対局直後は笑顔はありませんでした。
ただ、本来このような大きな大会に出場できるような棋力はなく1勝もできずに終えると思っていたので、本堂での本戦トーナメントに進めたのは出来すぎな結果ともいえます。
個人的に将棋少女はもう十分すぎるほど頑張ったと思うのですが、全国大会決勝をみると安定して活躍している強い子との差は何か?と考えてしまいます。
「対局中に手が止まってしまう。圧倒的な時間差ができてしまう。二歩などの反則手を多発する」将棋少女のいつもの負け方を知っていると、これからどうすればいいのか…何が足りないのか?
- 才能
- 努力
- 環境
将棋未経験の私には何もわからないのですが、恐らく全部足りてなくて今すぐにはどうにもならないことばかりな気がします。もう遅いかもしれませんが、今度日々の勉強方法や量について聞いてみたいと思います。
また、今回のマイナビ出版杯小学生女子将棋名人戦で驚いたのは、記録係の方について。子供たちの対局の指し手をリアルタイムで記録しながら同時に解説を打ち込んでいます。対局者双方の狙いや心情に気を配りながらの高速での解説。恐らくパニック状態だった将棋少女の拙い指し手にも、素敵な解説がついていました。ありがとうございます。
今回の様子はLPSA(日本女子プロ将棋協会)様のHPでも公開されています。有段者の方々からみれば将棋少女の勉強不足が一目瞭然で大変厳しいご意見をいただくことになると思いますが、親の不甲斐無さと受け止め、噛み砕いて娘にも伝えていきます。
もう泣いてばかりではダメな年齢なのでしょうけど、きっとどこかでまた将棋少女は泣きます。それでも、辿りついた場所と辿りつけなかった場所。悔しさと悲しさ。様々な思いが娘の成長に繋がってくれると思います。
LPSAの方々や関係者の皆様、本当に貴重な経験をさせていただきありがとうございました。いつまでも袴姿での対局を目指す次の少女たちの憧れの場所であることを願っております。
