毎年、秋の季節になると将棋女子にとって重要な大会があります。
予選落ちしかしたことないけど、ムアツ杯に行きたい?
いく! 旅館チケット当てる!!
目標が違う気もしますが(将棋を)楽しんでくれるなら良しとします。
ムアツ杯女流アマ名人戦とは
女流アマ名人戦は、1968年から「女性への将棋の普及を主たる目的」とした日本将棋連盟主催の女性大会で、女流アマ戦で最高位の歴史を誇ります。
小学生・中学生から高校生や大学生、そして社会人・大人。全国からたくさんの将棋女子が集まる全国規模の大会。そんな大きな女流アマ名人戦は、のちの多くの女流棋士が活躍している大会でもあります。
- 清水市代女流七段(1983年)
- 中倉彰子女流二段(1991年、1992年)
- 室田伊緒女流二段(2004年)
- 香川愛生女流四段(2005年、2006年)
- 野原未蘭女流初段(2017~2019年)
- 磯谷祐維女流2級(2021~2022年)
近年では、野原未蘭女流初段が3大会連続優勝。新型コロナウイルスの感染拡大により2020年の女流アマ名人戦は残念ながら中止でしたが、磯谷祐維女流2級が2連覇で女流棋士に。これからも女流棋士を目指す将棋女子が集まる注目される大会です。
二年前、そんなハイレベルな大会とはつゆ知らずコロナ禍でほとんどの大会が中止される中、大会というものを体験させることができた数少ない大会。
指導対局というのを初めて受けたのもこのムアツ杯女流アマ名人戦だったりします。
(駒落ちというものも知らなかった)
「何枚にします?」この意味がわからなかったあの頃。今は親将10級位にはなれたでしょうか。
ムアツ杯第55期女流アマ名人戦 | |
日時 | 令和5年9月17日 10時30分(受付10時) *名人戦クラスベスト8は翌18日に駒テラスに再集合 |
会場 | 9月17日(日) プラザマーム 9月18日(月) 駒テラス |
大会内容 | 初心者から有段者まで棋力別将棋大会 ・名人戦クラス(予選:2勝通過2敗失格) ・Aクラス(3級以上)リーグ戦 ・Bクラス(4~8級)リーグ戦 ・Cクラス(9級以下)リーグ戦 |
大会審判 | 日本将棋連盟棋士 |
参加資格 | 女性限定 |
参加費 | 一般:1500円 中学生以下・支部会員:1000円 |
賞 | 各クラス優勝~3位まで賞状 参加賞 名人戦優勝者に三段、準優勝者に二段免状 Aクラス優勝者に初段免状 |
主催 | 公益社団法人 日本将棋連盟 |
特別協賛 | 昭和西川株式会社 |
協賛 | 株式会社マイナビ出版・ホテル花月園・天童市 |
後援 | 報知新聞社 |
ムアツ杯女流アマ名人戦 当日
今年のムアツ杯女流アマ名人戦は、東京都中央区日本橋浜町のプラザマームで開催。隣には、女流アマ名人戦の冠にもなっているムアツブランド商品を販売している昭和西川株式会社さんのビル。東京駅からは徒歩で30分程ですが、最寄り駅であるJR馬喰町駅からはほぼ一本道で徒歩約10分とわかりやすい場所にあります。
プラザマームに到着すると、既に大勢の方が。今年のムアツ杯女流アマ名人戦は、全国各地から141名もの参加らしく全国区の有名な方の姿もあります。奥の展示コーナーでは、プロ棋士の実際の対局でも使われているムアツ座布団であったり、新商品ポケモンとのコラボ商品ムアツマットレスが展示。
手前には、お楽しみ抽選会コーナー。このムアツ杯女流アマ名人戦は、豪華なお楽しみ抽選会もあります。マイナビ賞や天童賞・花月園賞、スリーピンググッズ。どれが当たっても嬉しいのですが…将棋少女の狙いは…
旅館ある!
後で当てようね!
将棋少女のお目当ては旅館宿泊券。ハズレて気落ちして将棋に影響しそうなので、あとからにします。
対局会場は、プラザマーム2Fフロア全体を使っての開催。各クラスに分かれて対局席で開始の合図を待ちます。目標は、予選突破。これまで予選落ちしかしたことがないムアツ杯女流アマ名人戦。しかも、今年は一つクラスを上げての挑戦。一年間、泣きながら頑張ってきた努力が実る事を祈ります。
ムアツ杯第55期女流アマ名人戦 ABCクラスルール | |
予選 持ち時間 |
スイス式トーナメント 対局開始時:時計なし 状況により数分+30秒 |
決勝戦 持ち時間 |
対局開始時:時計あり 15分30秒 |
ムアツ杯女流アマ名人戦 予選
緊張の第一回戦が始まります。
道場が怖くて未だに通えていない将棋少女は、人と対面で対局することを今でも怖がります。対局会場の前で進まなくなることもしばしば。その怖さを紛らわせるのに、すみっコぐらしやぬいぐるみの力を借りています。
ここに来てる人はみんな強い。強い人は考えることを休まないよ。
ゆっくりでいいから、考え続ける練習しておいで。
できる?
やってみる!
将棋少女の出場クラスは、対局開始時に時計なし。最初だけは時間を気にしなくていいルールです。お互いにゆっくり考えてゆっくり指す優しい空間で、これなら対局中に泣くことはないでしょう。それで勝てるかどうかは別として、せっかくの時計なし対局。いつもより深く読む事を意識させます。
読む量・速さに差はあれど、将棋は1手だけ最善手を見つけたからといって勝てるわけではなく、最後まで考えつづけた方が負けにくいゲーム。小さいうちは、考え続けることに脳が疲れて休んでしまいます。それでも、この先も泣かない為には集中力を継続して考え続ける事に慣れないといけません。
とはいえ、将棋少女はすんなり課題をクリアできる程才能はなく、予選のほぼ全対局で駒がぶつかりあった中盤で競り負けます。今回も、中盤ですぐに劣勢に…元々の読む力が足りません。
(上図:評価値800程押されている場面)
対局後、お姉さんたちと何やら駒を動かして話をしているようです。道場が怖くて通えていないのとコロナ禍で感想戦が中止だったのもあり、正しい?感想戦というのをほぼ知りません。今でも、対局相手の方が話してくださるのを聞く係になっていることがほとんど。
ちゃんと会話できているのか、間違ったことを話していないか心配事がつきません。
昼食
ムアツ杯女流アマ名人戦の予選(ABCクラス)は、昼食を挟んで4回戦行われます。
プラザマーム3階の展示室・会議室が保護者控室兼昼食会場となっていて、11時を過ぎると二回戦を終えた子から準備してきた軽食を食べたり、お子さんの引率を頑張っている保護者の姿が増えてきます。
プラザマーム周辺には、徒歩5分圏内にジョナサンやコンビニ、吉野家、おむすび屋さんがありますので、時間に余裕がある場合は外での休憩も可能。ちなみに、将棋少女はいつものように昼寝。保育園の頃から昼寝は好きでしたが、片道5時間程の移動にまだ体力がもたないようです。
ムアツ杯女流アマ名人戦 決勝戦
ムアツ杯女流アマ名人戦のABCクラスでは、15時頃から全勝同士の決勝戦。
運よく駒を進めることができた将棋少女は、初めての決勝進出なのでルールをしっかり聞きます。主な変更点は、対局開始時から時計ありに変更。持ち時間は15分、秒読み30秒。審判が見守る中での対局となるので、いつも以上に緊張します。
時計ありだけど、焦らなくていいよ
時間を気にせずゆっくり考えて潜っておいで。
はい!
でも二歩には気を付けてね
この一言を言い忘れて、何度二歩させてしまったことか。
子供の大会は、持ち時間10分や5分、場合によっては切れ負けルールもあります。今対局は持ち時間15分の設定なので、序盤から右往左往しても早々に秒読みで苦しむことは避けれたようです。
将棋少女は、最後まで二歩確認しながら終局。はじめてのムアツ杯女流アマ名人戦の決勝戦は、笑顔で終えることができました。
ムアツ杯女流アマ名人戦 指導対局
ムアツ杯女流アマ名人戦では、対局後の指導対局もあります。
今年の指導対局は、広瀬章人八段、松尾歩八段、山口恵梨子女流二段と豪華な指導対局で、基本的に希望者全員が指導してもらえるそうなのですが…時間制限があったようです。決勝戦が終わってから駆けつけると既に申込み受付は終了。残念ながら、指導対局に参加することはできませんでした。
状況を見て親が先に受付だけすることもできるかもしれませんが、将棋少女は不器用で出来ない事だらけで目の前の課題にも手一杯。あれもこれもと詰め込むとすぐにオーバーフローを起こします。
指導対局は、次回に持ち越しです。
ムアツ杯女流アマ名人戦 抽選会
ムアツ杯女流アマ名人戦には、お楽しみ抽選会があります。将棋を覚えてほぼ最初期に参加した大会がこの大会で『大会にでると抽選会で何かもらえる』と思い込んだのもこの大会だったりします。
賞品は大変豪華
- 将棋本
- 将棋駒
- 盤
- 将棋ソフト
- ホテル花月園のペア宿泊チケット
- 藤井聡太先生自筆詰将棋デザインバッグ付きムアツクッション
- プロ棋士のサイン色紙
- その他、協賛品など
「泣き止ませる為に抽選」と決めていたので、16時頃の抽選。今年は、マイナビ賞?でしょうか。賞品はパソコンの将棋ソフト「激指」でした。強くなるためにもっと激指と対局しなさいということですね。
次こそ旅館チケット当てる!
どうやら、来年も参加できそうです^^
ムアツ杯女流アマ名人戦 抽選結果 | |
2021 | ムアツクッション |
2022 | 黄楊産 お箸 |
2023 | PC将棋ソフト 激指 |
2024 | (次こそ…宿泊券?) |
ムアツ杯女流アマ名人戦を終えて
ムアツ杯女流アマ名人戦は、関東のみならず全国から強豪が集まる女子アマ界最高レベルの大会。これまで、そんな大会の一つ下のクラスでさえ予選落ちで泣いていた将棋少女でしたが、三度目の挑戦で優勝する事ができました。
ですが、棋譜を復習してみるとどの対局も危なっかしい箇所ばかりで薄氷の勝利。運任せの指し手が多く、まだまだ勉強が足りません。それでも泣かずにすんだのは、優しい大会だったことにつきます。
ムアツ杯女流アマ名人戦のBCクラスは、時計なしスタートなのでゆっくり考えることができます。早指しができない将棋少女にとってかなりのメリット。そして、女子だけの大会なので、駒を叩きつけるような指し方もみません。超早指しで秒で駒音強く返されると、怖くて「間違ってるんだ」「負けてるんだ」と勘違いして思考停止してしまいます。本来ならそんなバチバチな対局でも下がらず心折れず立ち向かっていかなければいけないのですが…。今日のところは、この優しい空間に守られての結果でした。
それでも誤魔化しきれない課題は、中盤。駒がぶつかったタイミングでだいたい悪くします。最初の歩のぶつかりも、取ったらいいのか取らないほうがいいのか、手が止まり悩みます。そして間違えます。よく「普通の手を指せばいい」といわれますが、将棋少女はその普通がわかりません…。
二歩と同様徐々に自然と改善されるものなのか、意識的に取り組まないと改善しないものなのか様子見です。
また、上のクラスの対局を見ましたが、感想戦含む対局終了後にすぐ棋譜入力したり駒を並べなおして復習している方や、対局を見守っていた方と検討を始めたりと、将棋に対する熱量が違います。
指した手順を数局分全部覚えきれない将棋少女は、頭の中で思い浮かべて(脳内将棋盤?)瞬時に修正できる才能を持ち合わせていませんので、復習する為の棋譜がないとどうにもなりません。親将10級初心者なので、初手から終局までを覚えて対局後に子供に伝えるというのが物凄く難易度の高い作業なのですが…
対局は「棋譜に残す⇒復習する」。少しでも上達するための見習うべき姿です。
ムアツ杯女流アマ名人戦・名人クラスは、初日でベスト8に残ると二日目に参加できます。今年の二日目の会場はオープンしたての「駒テラス」(昨年の決勝戦は天童開催)。
公開収録室やカフェがある駒テラスですが、奥にはイベントブースがあり名人戦クラスの決勝戦が行われていました。優勝は吉川惠さん。まだまだここで戦う棋力はありませんが、楽しみながら一歩ずつ近づいていければ、10年…20年後には一度はチャンスがくるかもしれません。
お姉さん、見ててくれたかな?
今回、三度目のムアツ杯女流アマ名人戦に参加してきました。
私達親子のように、学校には将棋部がなく将棋道場にも通えていない方々も多くいらっしゃるかもしれません。そんな方々に、優しい雰囲気と厳しさを併せ持つ『女流アマ名人戦』という女流アマ将棋界最高峰の世界を少しでも伝えることができれば幸いです。
対局してくださった皆様、お話くださった皆様。そして、ムアツ杯女流アマ名人戦に関わるすべての皆様、ありがとうございました。来年からはひとつ上のクラスで泣かれる予定ですが10年ぐらいかけてゆっくり辿り着ければと考えております。もし、会場の隅で泣いている姿を見かけましたら、抽選会で笑顔になるまでを見守っていただければと存じます。
それでは、来年お会いできましたら何卒宜しくお願い致します。