5歳からおでかけニャー将棋を始めた女の子は、保育園児として初めて出場した大会(さなる杯小学生名人戦)で見事に泣いてしまいましたが、あれから毎日詰め将棋をしています。
これからは、ゆっくり『棋士・藤井聡太の将棋トレーニング』で遊ばせておこう、と思っていたら…
市民将棋大会開催のお知らせを発見しました。
市民将棋大会 申し込み
新聞社のホームページに、少し離れた市で市民将棋大会が開かれる告知がありました。
しかも、この市民将棋大会は初心者クラスがあるそう。これなら、保育園児でも少し楽しめるかな?…
前回、初めての大会で泣いてしまいました。悲しい思いはしてほしくないので不参加で子供にも知らせずに終わったほうが良いのか…
それとも、楽しく終えて悲しい思いをした大会というのを払拭させるべきか?
よく見ると、参加資格は「小学生または高校生以下の初心者」とあります。
そもそも参加できないみたいでした。
少し遠い場所で初心者クラスの大会があるみたいだけど、小学生になったら出てみたい?
いく!!
今度はリクト君いるかもしれないし!
え〜…泣いてたじゃないですか…なんでそんなに大会に行きたいの?!
えと、リクト君は住んでいる所が遠いからこの大会にはこないよ?
ん〜、聡太先生来るかもしれないから行ってみる!
聡太先生は、もっと来ないです…
娘のために、一応新聞社に電話してみます。
市民将棋大会のお知らせを見ました。
市民将棋大会の見学は大丈夫でしょうか?
参加される方の保護者ですか?
いえ…子供が行きたいと言っておりまして…
どうやら、新型コロナウィルス感染症の対策の一環として、参加者の保護者しか見学できないとのこと。
これは、ダメ元で聞いてみました。
参加資格に小学生~高校生とありましたが、保育園児の参加は可能でしょうか?
どこかの支部道場に通っています?
いえ、駒の動かし方を覚えて家で父親とパチパチ指してるだけです。どこかの将棋道場に通っていないと参加できないものなのですか?
支部に確認しますので、しばらくお待ち下さい。後ほどご連絡いたします。
やっぱり保育園児で、将棋道場に通っていない子供はだめっぽいです。でも、保育園児で往復4時間近くかけて支部道場に毎日通うのは無理です。娘に「ごめんね」と謝りながら、近くの公園で遊ぶ約束をしてなんとかご機嫌をとります。
—翌日—
支部に確認しましたが、保育園児の参加は大丈夫だそうです。小学生や中学生と比べると指すスピードが違うので、参加資格を設けていましたが、保育園児だからダメなことはないそうです
とのことでした。なんとか参加できそうですが、もう一つ懸念が…。市民大会なのに開催地の市民ではありません…。
さらにいうと、開催地の市民ではないですが…
そこは、大丈夫です。Aクラスとか普通に他市から参加してますので。
という流れで、市民将棋大会の初心者クラスに保育園児として参加することができました。
参加前に疲れましたが、あとは大会当日まで準備するだけです。
今回は、しっかり囲いを組んでから攻める練習もして大会に備えます。対局時計の使い方は、よくわかりませんが、将棋時計(ショウギクロック)で交互にボタンを押す練習して形だけでも整えます。
(持ち時間設定:10分30秒)
市民将棋大会 当日(受付にて)
支部長さんに挨拶しました。
この度は、保育園児なのに参加させていただきありがとうございます。
むしろ、こちらこそありがとうございます。
女の子でこんな小さいうちから将棋してくれるなんて
と、逆に感謝されました。
自身は「高校生から将棋を始めて…遅かった、なるべく早く始めた方がいいから」
と経験談なども聞けました。
そのあと、新聞社の方から声をかけられました。
もしかして、保育園児で参加の…
はい。ご対応していただきありがとうございます。
いやー、本当に保育園児なんですね。大きいお兄ちゃんばっかりだけど頑張ってね
やっぱり会場で唯一小さい子なので、すぐわかったようです。
ところで、保育園児の女の子は大勢の人で怖くて弱気になっています。というのも、この市民将棋大会は初心者クラス(D)だけでなく大人が出場するAクラスまであるので、雰囲気がまったく違います。
小さな女の子は、見渡すかぎり大人で怖がっています。
「負けてもいいから、楽しもうね。」と声を掛けますが顔が強張っています。
そんな中、支部長さんの挨拶・ルール説明が始まりました。
市民将棋大会 予選開始
今回の市民将棋大会の抽選は、ナンバープレート式。番号が書いてあるナンバープレートを引いて組み合わせが決まっていくようです。
初心者Dクラスも総当りの予選リーグ戦ですが、保育園児にとっては誰と当たっても難敵です。
「目標は、1回勝つ。だから気楽にね。周りはみんな大きいお兄ちゃんだから勝てなくてもいいからね。」と、送り出しました。
予選1局目
対局相手は、小学4年生ぐらいの男の子。
まず、保育園児なのに1勝するというのが無理です。振り駒で…後手番。かなり、厳しいですが練習した急戦エルモが決まればなんとか…と、心配していると、そこには振り駒したい保育園児の顔がありました。
対局が始まってすぐ駒がぶつかり合って取り合いになりました。
エルモ囲い右四間飛車で、盤面は少し良さそうに見えましたが、
持ち駒の歩を手にし、どこに置くか見ていると…步を置いた筋には初期駒の歩がありました。
小学生は、「二歩です」と指摘して手を上げ審判をよびます。
キョトンとしていました。
もちろん、二歩については知っていますが、「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」では二歩ができない仕様なので忘れていたようです。
すぐ、次の対局なので落ち込ませず二歩負けに落ち込まないように笑顔で
二歩姫になっちゃたかぁ〜。
かわいい!
でも、大会のときはニ步姫にならないでね。
と頭を撫でます。
ニ步姫ってな〜に?
と、笑いながら照れてます。
よし、新しい目標!二歩をしない事! できる?
うん、がんばる!
成功しました。どうやら、『ニ步姫』という言葉と二歩しないという緩い目標設定が良かったようです。
予選 2局目
そして、すぐ2局目の対局が開始されます。
相手は、小学5年生の子。振り駒の結果…先手番に。今回は、矢倉を選んだようです。
相手も、居飛車にかまえてきました。相矢倉模様?と思いきや、保育園児は、守りの意識が薄く今日も急戦を仕掛けます。
虚をつかれたのか相手は一歩出遅れて、こちらの急戦が決まり相手陣地に進入成功。その後、こちらも右下に入られましたが、そのまま押し切り詰ませることができました。
大金星です。1勝するという目標までクリア。ところで…
なんであそこで急戦したの?
ん?いけるとおもったから。
ん?普段臆病なのに、なんで時々思い切り良くなるのか…ともかく
もう1勝したから後は気楽に楽しもうね。
うん!二歩しない(ふふっ)!!
いや、こっちは二歩のことすっかり忘れてましたよ。
予選 3局目
第3局目開始です。相手は、中学生ぐらいの男の子。もう、体がふた周りも違います。
振り駒の結果…先手番に。今回は、エルモ囲いを選んだようです。相手は。振り飛車。
保育園児は、エルモ右四間飛車で急戦を仕掛けました。本当に守りません。お互いに相手陣地に進入して駒の取り合いをします。エルモ囲いも少しずつ剥がされ薄くなります。
自陣は、隙だらけになり相手が連続王手で攻めてきましたが、なんとかうまく受けて玉を5段目まで回避。
今度は、増えた持ち駒でカウンター。なぜか詰ますことができました。
ここ攻めたの失敗だったかなぁ?
ここはうまく受けたね。
と中学生ぐらいの子が話しかけてるみたいですが、将棋道場に通ったことがない保育園児は、もちろん感想戦を知りません。でも…
うん。うん。
と頷いているようでした。対局というよりも、指導対局してもらったようなものなのかもしれません。なにせ、小さい女の子でネームプレートの学年表示には保育園と書かれています。
優しくしてくれてありがとうございます。
予選 4局目
4局目は小学生。中学生に比べれば大きくないですが、保育園児よりは頭一個分ぐらいは大きい男の子。振り駒の結果…後手番。
相手の子は、一直線に2筋、飛車先を伸ばしてきます。銀も二筋に上がったので棒銀確定。
大丈夫かな?と見ていると、ちゃんと金を寄せて、端歩をついて守りました。
棒銀の手が止まったところで、銀が上がり右四間飛車から攻めて優勢に進めて勝ちました。
初心者大会なので、原始棒銀で攻める子が多いかもしれないと少しだけ棒銀対策。受ける練習しておいたのが役にたちました。
以上で、予選リーグは終了。
予想外にも3勝1敗で決勝進出が決まりました。
市民将棋大会 決勝トーナメント
予選をまさかの一位タイ通過。
一局目の二歩反則負けから、急展開すぎて驚いてますが
次は?もう将棋おわり? まだできる?
と、状況がわかっていない保育園児と休憩時間をはさんでから決勝トーナメントです。
まだ、あと一回負けるまでできるよ。
休憩時間みたいだから、今のうちにトイレと水分補給と右四間飛車の復習しておこうね。
将棋大会に慣れてない親子は、段取りもわからないまま決勝トーナメントに向かいます。
事件がおきたのは、準決勝。
相手は、予選2局目で対局した小学5年生の男の子。
飛車を振ってきたのに対して、保育園児はここまで順調なエルモ囲い右四間飛車。先手番で、いい勝負できてるかな?と見ていましたが、相手の子が攻めてきたので焦ったのか上の図から数手後に…持ち駒の歩を手にとり、二歩をしてしまいました。
相手の子も気づき、手を上げ審判を呼びます。「二歩姫」再び登場です。
市民将棋大会の最後は、前回大会と同じく反則負けで幕を閉じました。
初心者クラスは、初心者だけではない可能性…
大会にもよるとは思いますが…
初心者クラスとはいえ、駒の動かし方を覚えたばかりの小学生ではなく、週に何回も将棋道場に通っている小学生たちも出場します。
抽選次第では、初心者クラスだとしても厳しい対局になるので安心できません。
『棋士・藤井聡太の将棋トレーニング』の昇級規定は恐らく甘いので、実際の日本将棋連盟だと何級ぐらいかわかりません。目安の一つとして…激指の10級相手に負けて泣いてますし、激指10級に『棋士・藤井聡太の将棋トレーニング』の7級AIは勝てません。
将棋道場に通っていない園児、小学校低学年の初心者の『棋士・藤井聡太の将棋トレーニング』組が将棋大会にでるときは、棒銀などの一つ得意な攻め方を覚えて6級前後(激指だと10級)まで練習してから、初心者クラスに参加してみると楽しめるかもしれません。
支部長さんとのお話から 少し将来について
決勝前に、別の支部長さんからお声がけいただきました。
普段どこの道場で練習してますか?お父さんは将棋の方は…?
見ての通り小さい保育園児の女の子で、道場という響きだけで怖くて、行ったことがないです。私も、道場に行ったことがなく娘と一緒に将棋を覚えてる状態です。
見知らぬ人から話しかけられて、少し怖がって背中側に隠れる保育園児。
そうでしたか。確かに、道場と聞くと厳しい感じに聞こえますが、そんなことなくて子どもたちが集まって託児所みたいになってますよ。
怖くないよ、女の子も何人か来てるからよかったらきてみてね。
とお誘いを受けました。
大変ありがたいお誘いなのですが、支部道場は少し遠くて仕事の都合上、夜8時までに迎えに行けません。保育園児の女の子は、怖がりで将棋道場で泣かないか心配。
何より、最大の障壁は母親が将棋を習い事とするのに大反対。でも、将来将棋部のレギュラーで大会に出るには道場で強くなった方がいいはずです。
この件については、母親と相談、そして本人の希望を聞いてみます。きっと、「プロを目指すわけではないんだからこれ以上将棋に時間を使うのはダメ(怒」
と、一蹴されますが…
市民将棋大会を終えて
色々勉強になった大会でした。
少し身長が伸びた保育園児は、前ほど盤面の見えにくさはなくなってきたみたいですが、二歩に対する意識が全く無かったのは問題でした。
『棋士・藤井聡太の将棋トレーニング』では、二歩はできない仕様なので、歩を使う時には同じ筋に歩があるか確認する習慣をつけないといけません。きっと、将棋道場に通っている子だとこういった負け方はないのかもしれません。
それとも、経験を積めば自然と二歩もでなくなるものなのか…。家に帰ってから、二歩対策を講じてみます。
また、今回も泣いてしまいましたが予想外の結果(3位)で、賞をもらうことを覚えた保育園児。これ以上、大会熱が上がらないといいのですが…
といっても、コロナ禍で将棋に限らず中止となる大会が多いので、しばらくは家で『棋士・藤井聡太の将棋トレーニング』でまったり過ごす予定です。
2大会連続反則負けの女の子(ニ步姫)
どこかの将棋大会で、また泣いているかもしれませんが、見かけましたら何卒宜しくお願い致します。