二歩姫誕生将棋大会への参加
冬の間、新型コロナウイルスの影響もありほとんど対局することなく春を迎え、一度延期されていた市民将棋大会は桜の咲く頃、感染症対策や観戦者制限をしての開催されることになりました。
保護者ということで一緒に会場に入れたのは良かったのですが、いきなり泣いて帰るところでした。というのも…
同クラスの参加者には小学生が誰もいません。ほとんどが高校生で、一番歳が近いのも中学一年生の子です。10歳も年齢差があれば、身長も50cmぐらい違う場合もあるわけで…体格的にも怯んで、もう入り口で立ち止まります。
前回出場した時よりも、小学生率が下がっているような…
久しぶりの将棋だから『同年代の子供たちと楽しく』の予定が、『将棋部のお兄ちゃん達からのレッスン』になってしまったことを悟ったのか、持ってきた将棋の本を出して開始時間まで復習を始めました。
将棋初心者な親からみれば、この将棋世界の特殊な状況には慣れません。小学1・2年生が一回りも二回りも大きな中学生や高校生と戦う競技なのですから…。
・二歩をしない(確認する)
・時計で泣かない
二回目の市民将棋大会 予選
予選1回戦 高校生
係員の方に誘導され、小さい将棋少女は対局席に座ります。
対局相手は、高校生の男の子。・・・もうこの体格差です。そして、さらに驚いたのが…
相手の子の指し手。「初手68銀から79角…???」
何これ???
序盤、飛車先も角道も開けない不思議な駒組み。勝っているのか負けているのかいつも以上にわかりません。いつもの場所に相手の駒がないだけで、どうしたらいいのかわからなくなっています。
とりあえず飛車先だったりを進めてみたようですが…
気づいた時にはもう遅く、いつの間にか盤面は劣勢になっていました。
このまま負ける…と思っていると、必死に被害を最小限に抑えようと長考に入りました。
将棋歴の浅い将棋少女の長考なんてたかが知れていてすんなり良い手が見つかるわけはないのですが、それでも負けないように踏みとどまっている姿は、今日のご褒美ポイント
対局の方は、無理っぽい攻めを続け偶然逆転できたものの、飛車先も角道も開けない初めて見る駒組みに、どうすればよかったのか明確な答えがわからず。
的確なアドバイスができないまま次の対局に呼ばれます。
予選3回戦 高校生
予選会場をみてまわり、1回戦では矢倉を組んでいた高校生との対局。今回も矢倉かもしれないよと伝えます。
わかった!
と、少し険しい表情になります。
相手の子は、予想通り矢倉の構え。矢倉が苦手な将棋少女の決断は「矢倉を組まれる前に突破しよう!」でした。
ということで、開始早々突撃します。ですが、不意を突いたものの決定打にはならず、均衡を崩すのが難しいよう。追い返されて・・・を繰り返し、長手数の末、終盤逆転したようですが、やはり、まだまだ矢倉にはまともに勝てません。矢倉攻略に役立つ本を今更ながら探します。
市民将棋大会 休憩
予選5回戦のあと、少しの休憩を挟んで決勝に備えます。
組み合わせで一番最初に予選を終えましたので、少し長めの休憩をとれます。が、ちょっと顔の表情に動きがなくなってきました。
長時間対局が続き、小さな女の子には少し厳しい状況。ぼーっとしたままでの決勝は避けたいので、少しだけ仮眠させました。
二回目の市民将棋大会 決勝トーナメント
決勝トーナメント 1回戦
決勝は1回戦から強敵です。
というのも、予選1回戦で苦戦したあの「飛車先も角道も開けない指し方」をする高校生です。
対局が始まると、やはり予選と同じく飛車先も角道も開けない序盤にうまく対処できず攻め込まれます。むしろ、予選のときより深く刺さっている感じです。
これは、去年と同じく決勝にはいけないな。
むしろ「よくここまで二歩がでなかったね」と、なぐさめる用意をします。
終盤、相手の攻めが一度途切れました。瞬間、受けを厚くするのではなく攻めを選択。なりふり構わない捨て身の反撃が届き逆転勝利しましたが、本来は負けてた対局です。
負けると思ったぁ〜><
よく耐えたね。頑張ったね。
圧倒的に負けていたので少し混乱していますが、ひとまず落ち着かせてラムネを食べてまた受けの本を読みます。一辺倒にせめて終わりではなく、受けた先に次の攻めがあると気づいたのでしょう。
苦手みたいですが…
決勝戦 中学生
なんというかすごく優しくて良い子でした。
駒の並べ方や時計の使い方まで、小さい子の仕草を気遣ってくれてます。指し手も丁寧で姿勢もキレイ。将棋少女は、疲れてくるとすぐ姿勢が崩れるので
あのお姉さんみたいにキレイな姿勢で優しく指すんだよ?
と予選で見かけた時に伝えました。
また、集中しだすと前傾姿勢で視線が一点集中してしまい「全体を見れない=二歩がでる」のでは…と心配になります。
お互いにゆっくりと駒を置く感じで微笑ましく、こんなお姉さんが近所にいたら毎日指してほしいと対局そっちのけで思っていましたが…対局の方も、ゆっくり進行します。
『棋士・藤井聡太の将棋トレーニング』や『激指15』で対振り飛車の練習をしていたから、あまり見慣れない居飛車の駒組。それでも、持ち駒の歩を上手く使えたのか少しずつポイントを稼いだ模様。
歩を持つたびに、ヒヤヒヤしますが相手の子もゆっくりと指す子なので、落ち着いて大会前に約束した「二歩確認」をしてから駒を置いてます。
昨年、同じ大会中に2度の二歩反則負けした二歩姫からは考えられませんでしたが、今年度初となる久しぶりの対局・大会で優勝することができました。
二回目の市民将棋大会を終えて
今年度、最初の将棋大会はほとんど対面対局していない冬のブランクを埋めるための出場でした。(冬の5ヶ月で5局だけ)
昨年、二歩姫が誕生した大会でもあり歩を持つ度にヒヤヒヤでしたが、なんとか成長したところを見てもらえたかもしれません。
とはいえ、ジェットコースターのように乱高下を繰り返して、着地した先が偶然将棋少女側だった対局が多かったように思えます。
また、受けの重要性を少しだけ理解したのか、運がこちらに振れるまで、手番がこちらに渡るまで少しだけ耐えれるようになったのが大きかったようです。
将棋を覚えたての頃。棒銀の攻めが一段落したあと、逆に攻められてそのままあっけなく負けしまうことがあります。受けをなんとかしなければと、購入した本が『将棋・ひと目の受け』
対局の合間にも読んでいましたが…
あきらかに受けを意識するようになっていました。初めて見る指し手に四苦八苦しながらも、これ以上被害を拡げない為にはどうすればいいか?
なんとか凌いで、もう1回攻めのチャンスがくるまで耐えれるようにと、頑張っていました。
逆に体力面は問題。予選が終わる頃には眠くなってきたのか顔がぼーとしてきました。
今回、決勝戦前の合間に仮眠できましたが、続けて対局の場合で長い休憩がとれない大会の方が多いはずです。子供、特に女の子は一日を通しての対局は体力的にまだ厳しいので、前日の睡眠時間や休憩、食事等サポートが必要です。
また、今回対局してくれた子達はとても良い子ばかりです。対局後の復習にも付きあってくれたり色々心配してくれました。
将棋少女は、普段『棋士・藤井聡太の将棋トレーニング』の画面と一人で練習していることを伝えると、中学生の子は通っている将棋道場の事も教えてくれました。
往復3時間弱なので、小さい子が1人でお伺いすることは難しいですがもう少し大きくなったら一緒に遊びに行かせたいと思います。
高校生のお兄さんたちとは、当たってても外れてても「ここはこうじゃないか」とか「こうだったら?」とか、まるで部活のようです。
新型コロナウイルスがなければ、部活にお邪魔したり、文化祭で突撃したりできたのでしょうが、蔓延している状況では出来ないようです。本当に残念です。
今回の大会も、対局して始めて知る事も多く将棋少女にとって成長できた一日となりました。
初段までは、まだまだ遠いですがゆっくり歩んでいきたいと思います。
一緒に対局してくださった優しいお兄さん、お姉さん。開催、運営してくださった皆様、ありがとうございました。
またどこかでお会いできましたら、まだまだ二歩しそうな将棋少女ですが見守っていただければと存じます。
事前の準備(戦法について)が、今大会将棋少女の失敗ポイントでした。