保育園児でも将棋大会にでれるの?
藤井聡太先生が幼少の頃に通っていたふみもと子供将棋教室の『マンガでよくわかる将棋入門』を読んで、将棋には大会があることを知った保育園児は、将棋大会に出てみたいといいました。
え?大会??
リクトくんいるかもしれないし、行ってみたい!
リクト君は、「マンガでよくわかる将棋入門」にでてきた主人公の男の子。藤井聡太先生と同じ、ふみもと子供将棋教室で将棋を覚えて大会にでるところで話が終わっています。
子供の意欲、願いはできる限り叶えてあげたいですが、リクトくんはいません。
せめて、将棋大会の会場を覗いてリクト君がいるかどうか探しにいくだけなら、、、
コロナ禍において、中止される大会も多い中、「さなる杯小学生名人戦」という大会が行われるとの事。…この大会ってかなり大きい大会なのでは?
大会に参加した事がない、しかも保育園児が見学してもいい大会ではないのでは?
恐る恐る電話してみました。
うちの子は保育園児ですが大丈夫でしょうか?
皆さんのご迷惑になりませんでしょうか?
「大丈夫ですよ。初めての出場の方もいますので、将来の練習と思って、ぜひ出場してみてください。」
と、受付の方が優しく対応してくださり、大会出場未経験の保育園児が「さなる杯小学生名人戦」の地区予選に出場する事になりました。
何年も将棋を練習してきてる小学生に勝てるわけありませんが、惨敗すぎて将棋を嫌いにならないよう、せめて大会の雰囲気だけでも楽しめるよう、将棋大会の日まで特訓します。
初めての将棋大会(さなる杯小学生名人戦地区大会) 準備
そもそも保育園児です。
将棋歴なんて浅すぎて、まともに対局したら勝負になるはずがありません。何をやっても付け焼き刃でしかありませんが、攻めの作戦として初心者でも扱える原始棒銀を追求。
速攻急戦なので守りは疎かになるけど、よっぽど原始棒銀対策を知っている子でもない限り、序盤は決まるはず。
それとも、「小さい子は棒銀しかしないでしょう」と棒銀対策されてるものなのですかね?
念のため、「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」で右四間飛車とエルモ囲いも形だけ…。保育園児が将棋大会に参加とか不安しかありません。
大会前の練習の様子はこちら。
初めての将棋大会(さなる杯小学生名人戦地区予選) 当日
片道2時間程かかる道のりでしたが、あまりにも心配すぎて1時間以上早く会場に到着。
トイレは大丈夫?先生のお話はよく聞くこと。
棒銀やエルモ囲いは忘れてない?
子供よりも緊張しているかもしれません。
時間が迫るにつれて小学生の大きい子たちがあつまってきます。
お父さん、お母さんたちが
親A「うちの子は最近 〇〇支部の将棋道場に通い始めました」
親B「うちのは将棋教室で〇級になりましたよ」
と声が聞こえてきます。
本気で頑張っている子供たちが多いようで、いたたまれません。
ちゃんとした所どころか、どこにも通わせなくてごめん…。
人の多さに戸惑って隅っこで丸まっている保育園児に、小学生高学年の男の子が話しかけてくれました。
少年「小さいうちは僕も全然勝てなかったから、気にしなくていいよ。」
優しい子でした。
負けるのが当たり前なので、泣かないでくれたらいいのですが…
初めての将棋大会(さなる杯小学生名人戦地区大会)楽しい抽選
予選のリーグ戦や決勝トーナメントの配置を決めるために、抽選が行われます。
抽選は、ネームプレート式や割り箸式があるそうで、今回の会場では割り箸式でした。
今回参加させて頂いた「さなる杯小学生名人戦・地区予選」で、子供が一番はしゃいでいたのが割り箸式の抽選だったりします。自分の割り箸を引く順番はまだかなまだかな~?と勝敗そっちのけで楽しそうでした。
指導員の方や受付の方も、初めての大会で勝手がわからない子供に親切にしてくださって感謝です。
一方、抽選が楽しそうな子供をよそに、初めての将棋大会で親は気が気ではありません。
周りは大きい小学生ばかり。高学年の子もいます。そんな中、一際小さい最年少出場の保育園児の女の子です。
どうか泣かないで…。一度も勝てなくていいから、笑顔で戻ってきて…。
私が出場するわけではないのに怖くて怖くて仕方がありません。
将棋の世界は不思議です。小学生のうちから(保育園児ですが)なぜ学年別ではないのか?棋力に差がありすぎませんか?と、将棋の世界を知らない私は思ってしまいます。
初めての将棋大会(さなる杯小学生名人戦地区大会) 予選リーグ開始
割り箸抽選の結果、Dリーグになりました。
各リーグ4人総当りで上位二人が決勝トーナメントに進むようです。
緊張する初めての対局は4年生ぐらいの男の子。
遠目からは詳しく見れなかったのですが、原始棒銀やろうとするも、後手番。相手の飛車先が先に近づいてきてから、意識が守り主体になったらしく棒銀を忘れていました。
対局中に助言するわけにもいかず、見守っていると守りも攻めもチグハグで負けました。
がんばったね、大きいお兄ちゃんだったからしかたないよ。
泣かないようになぐさめるしかできません。。。
ちなみに、この最初に対局した相手が予選全勝で一位通過。
二戦目は小学生1年生ぐらいの子。振り駒の結果、先手番。
「先手番になったら相手の攻めは気にしないで棒銀まっすぐ行ってみよう!」と、開始前にアドバイスしてましたが、保育園児は、どんどん居飛車棒銀で突撃して突破。そのまま玉を追い詰めて初勝利することができました!
先生に報告して戻ってくると、椅子に座り盤面をじっと見直しています。こちらのことを見ることなく集中しています。
続けてすぐ3戦目が始まりました。小学3年生ぐらいの子。振り駒の結果、先手番。
もう1勝したので、楽になってると良いのですが…
保育園児は、いきなり居飛車棒銀で攻めます。相手の子も途中で気づきましたが、なんとか間に合い棒銀で突破できました。その後は、攻められもして危なかったのですが、攻めが途切れたところで詰ますことができて、リーグ2勝目。まさかの決勝トーナメントへ進出が決まりました。
いきなり棒銀は大会でも通用するみたいです。
初めての将棋大会(さなる杯小学生名人戦地区大会) 決勝トーナメント
保育園児は、抽選や振り駒にも助けられ偶然にも予選リーグ2位通過をはたして、決勝トーナメントに進出することになりました。
本人は予選と決勝の違いもよくわかっていないようですが、「あと一回負けるまで対局できるよ」
と伝えました。
他の子の対局を見ると、しっかり矢倉囲いや穴熊囲いにして臨機応変に対応しているので、棒銀しか武器を持たない保育園児が、勝てるわけありません。(一応、矢倉囲いや穴熊囲いの形は覚えているのですが、組み上がる前に攻めていきます)
圧倒的に負けて、泣かないでさえくれればいいのですが…
そして、決勝トーナメントの「割り箸抽選」の時間がやってきました。
対局のときは真剣な表情ですが、この時ばかりはニコニコしています。どれを引こうか楽しそうに悩んで他の子より時間をかけて選んでいます。
割り箸に書かれてる番号をトーナメント表で見ると…
なんと、予選Dリーグ全勝一位通過した子とまたも対戦となりました。
もしかしてうちの子、運が悪いかも…
さて、決勝が始まります。小学生が振り駒をして「と金」が3枚で先手番となりました。
今の所、先手番では棒銀でうまく突破して勝利してきましたが、相手はかなりの上手。きっと棒銀も止められて、そこから攻められて50手ぐらいでの負けになると予想。
どうなるかとみていたら、保育園児はなぜか棒銀ではなく右四間飛車。
ほぼ守らずの急戦で、スルスルと進み、4四銀あたりで突破できる形まで。
もしかしてワンチャンスあるかな?と、思った局面で指を離す間際に駒を裏返し銀成としました。
相手の子も戸惑いながらも手を上げ、審判に確認してもらい「反則負け」が決定しました。
成れない場所で成るのは「成りまちがい」反則負けの一種てす。
初めての将棋大会の最後は、あっけなく終わり…対局後、挨拶が終わると泣きながら走ってきました。
初めての将棋大会を終えて
無事?泣きましたけれど、初めての将棋大会は終了です。
予想外にも勝利することもあり、悲しいだけで終わらなかった大会でした。
将棋大会の雰囲気や独特な進行方法など体験できたのは、保育園児にとって将来の糧に。保護者目線で重要と感じたのは、精神面、メンタル的な準備です。
決して怖がらせずに楽しむ気持ちで臨ませる事が、良い結果、次に繋がります。そして、低めの目標設定で、焦らせずに少しだけ頑張る気持ちにさせることが大事だと思います。
泣いたあと、最後まで残って記念写真をいっぱい撮りました。
どうだった?楽しかった?
うん!楽しかった!振り駒したい!!
リクト君を探すことはすっかり忘れてましたが、喜んでくれてなによりです。
反則負けのあと、決勝に進んだ小学生の子は銀を成らなかったとして「続き」をやってみよう?と優しく反省会をしてくれました。指導員の先生も、指導対局をしてくださり良い体験ができました。
初めての将棋大会でしたが、参加してよかったと思える大会でした。
振り駒
抽選と同じぐらい楽しかったのが振り駒。
今回、最年少な保育園児の女の子は、対局開始前の「振り駒」を見てる事しかできませんでした。
振り駒を振るのは、年齢や級位が上の人らしいです。
家で対局する時は、ジャンケンや好きな方を選ばせてましたが…大会で振り駒できるようになるにはどうしたらいいか?聞いておきます。
反則負けに注意 園児の参加は椅子の高さにも
課題としては、「反則負けを意識して無くす」でした。
なんで4段目で銀を成ったの?
(盤が)高くてよく見えなかった
盲点でした。
小学生なら大丈夫かもしれませんが、保育園児の女の子には大人用のテーブルが高くて、座っていると将棋盤を上から見ることができません。
保育園児と同じ目線にしてみると、将棋盤、駒を側面から見ている感じになります。
普段、「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」の画面は、将棋盤の真上から全体をみているので、今回の低い目線から見る盤面は見づらかったかもしれません。
あと、いつもは保育園でお昼寝してる時間だから眠くなって、集中力が切れたのかもしれません。
そもそも練習、準備不足でした。反則負けをしなくなる練習ってどういうのがあるのでしょうか?
「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」では、そもそも二歩は指せませんし、成りまちがいもできないようになっています。親切設計なのですが、反則負けに気をつけながら指す習慣は身につきません。
棋士藤井聡太の将棋トレーニングの唯一の欠点かもしれません。
(設定で選べるといいのですが…)
園児が将棋大会を楽しむ5つの方法
まだまだ棋力不足が否めない園児・小学生低学年の初心者が大会に出場する際には、
- 得意な攻めを1つ覚える
- 反則負けに注意する
- 座席の高さにより盤面が見えにくい場合、立って盤面確認してもいいと教えておく
- 勝っても負けても褒める
- 前日は睡眠時間をたっぷりとる
「単純ながらも攻撃力が高い棒銀や得意な戦法で1勝」、「二歩をしない」等を目標に、褒めてあげることを忘れず子供と一緒に参加すると、楽しい思い出ができると思います。
決勝トーナメントは、昼をまたいで開催されることも多いと思います。保育園のお昼寝時間にちょうどあたりますので、普段お昼寝している保育園児は睡魔との闘いにもなります。
前日は、夜遅くまで囲いとかを詰め込まず寝かしつけるのも大事かもしれません^^;
あとは、他の小学生の参加者は大会慣れしているのかペットボトルを将棋盤の横に持参していて、タイミングをみて水分補給をしていました。保育園児は喉が渇いたのか、対局中に他の人のペットボトルをちらちら見てました。
ペットボトル・水筒も水分補給のために、持参したほうがよさそうでした。
以上、初めての将棋大会の様子でした。大会参加を検討している園児、小学生の皆様のご参考になれば幸いです。