『第53期女流アマ名人戦』応募受付最終日あたりに、駆け込みで申し込みしました。
というのも、出場予定だった大会が相次いで中止・延期で3ヶ月ほどスケジュールが空いてしまいました。将棋道場も将棋教室も近くになく、人と対局する機会が3ヶ月もなくなってしまうとせっかく詰め込んできたものがすり抜けてしまいます。しっかり身につけさせるには毎日の反復練習なのですが、目標がないと集中力・モチベーションが長続きしません。
そこで調べてみると偶然にも締め切り間近の大会が『女流アマ名人戦』でした。Aクラスや名人戦クラスには中学生、高校生、大人が沢山出場しているみたいですが、初心者の小学生以下が出てもいいCクラスと分けられているので少しだけ安心できます。
女流アマ名人戦とは?
女流アマ名人戦は1968年から「女性への将棋の普及を主たる目的」とした日本将棋連盟主催の女性の全国大会で、女流アマ戦で最高位の歴史を誇ります。
全国からたくさんの将棋女子が集まる全国大会。そんな大きな女流アマ名人戦は、のちの多くの女流棋士が活躍している大会でもあります。
- 清水市代女流七段(1983年)
- 中倉彰子女流二段(1991年、1992年)
- 室田伊緒女流二段(2004年)
- 香川愛生女流四段(2005年、2006年)
- 野原未蘭女流初段(2017~2019年)
近年では、野原未蘭女流初段が3大会連続優勝。新型コロナウイルスの感染拡大により2020年の女流アマ名人戦は残念ながら中止でしたが、これからも全国から女流棋士を目指し活躍する将棋女子が集まる注目される大会です。
ムアツプラス杯 第53期女流アマ名人戦 | |
日時 | 令和3年9月19日 10時30分(受付10時) |
会場 | KFC Hall&Rooms 東京都墨田区両国横綱一丁目 |
大会内容 | 初心者から有段者まで棋力別将棋大会 ・名人戦クラス ・Aクラス(3級以上) ・Bクラス(4~8級) ・Cクラス 初心者クラス |
募集人数 | 名人戦クラス64名 A/B/Cクラス各32名 |
大会審判 | 日本将棋連盟棋士 |
参加資格 | 女性限定 |
参加費 | 1500円 (中学生以下・支部会員は当日500円返金) |
賞 | 優勝から~4位まで賞状 参加賞 名人戦優勝者に三段、準優勝者に二段免状 Aクラス優勝者に初段免状 |
主催 | 公益社団法人 日本将棋連盟 |
後援 | 報知新聞社 |
予定になかった第53期女流アマ名人戦に申込み
急な大会参加となったので、子供は戸惑っています。

久しぶりの人との対局だけど大丈夫?
(しかも、大きい大会で大人と対局)

ううん>< きっと二歩する…
大会要項は、都度若干変更されているようで、今年はCクラスが統合になり小学生部門がありません。出場予定だった大会が中止になったことで急遽参加予定ですが、前回の大会前も対面で人と対局したのは、祖父との1、2局だけ。(角換わり戦で祖父に全敗)
あまりにも実戦経験が足りません。
しかも今回は、女流アマの最強を決定しようかという全国大会。恐れ多くて、今も迷っています。泣き虫で少し臆病な女の子のモチベーション・対人対局の経験の為に申込みしましたが、果たして良かったのか…
今も、二歩・序盤早々に王手飛車されて涙目になる状況が多く楽しめる状況ではないと思いますが、会場の隅っこで雰囲気だけでも体験して今後に活かせればと。
(あと、お楽しみ抽選会で機嫌よくなってくれれば…。)
皆様、何卒よろしくお願い致します。
第53期女流アマ名人戦 対局ルール
日本将棋連盟の女流アマ名人戦欄を確認しましたが、対局ルールなど記載されていないので、初参加である初心者親子は戸惑います。

10分30秒くらいの時間かな? それとも5分切れ負けとかなのかな?

時計ってどっちにおくの?
定跡も知らず対局数も乏しい女の子は、序盤の1手にも時間を使います。もちろん10分では足りなすぎるので泣くことが多いのですが、大会前に時間の感覚は掴んでおきたいところです。
とりあえず、秒読み30秒と予想して「30秒で指す」をショウギクロックで練習。
大会直前に、もしかしたら詳しい大会要項が送られてくるかもしれませんのでそれに期待です。
第53期女流アマ名人戦 抽選会
どうやら、女流アマ名人戦は大規模なお楽しみ抽選会があるようです。
過去の賞品をみると、
- 将棋本
- 将棋駒
- 盤
- 将棋ソフト
- ホテル花月園のペア宿泊チケット
- 藤井聡太先生自筆詰将棋デザインバッグ付きムアツクッション
- プロ棋士のサイン色紙
- その他、協賛品など
もしかしたら、会場で一番楽しい思い出になるのはこの時かもしれません^^;
ただ、何も当たらず泣く姿も想像できるので、抽選会のことは黙っておきます。「参加賞」を当たった賞品ということにすれば泣かないのでは…?
親は、対局結果もそうですが抽選会の結果にもフォローが必要ですね><
第53期女流アマ名人戦 指導対局
プロ棋士・女流棋士の先生方からご指導いただける貴重な機会。
新型コロナウイルスが拡大している今大会では、参加者全員がご指導いただくことは叶わないかもしれませんが、願わくば一局ご教授頂ければと願っております。
娘の稚拙な指し方を指導するのは大変かもしれませんが、何卒よろしくお願い致します。
大会参加 今回の持参本
大会参加の時は、将棋の本を一冊持っていくようにしています。
将棋大会会場までの移動時間・会場で開始までの合間・昼食休憩の時など将棋の技術を短時間で復習するために、詰め将棋だったり手筋の本だったりが適しているかもしれません。
そして娘が選んだ本は…
『将棋初段になれるかな大会議』

…なんでこの本なの?

初段になれるから!
さくらはな。さん、ありがとうございます。
(初段になれるかどうかは別として)楽しそうに大会に出れそうです。

ムアツプラス杯第53期女流アマ名人戦 大会当日
9月19日は、前日の台風がなかったかのような晴天。
朝10時頃会場に到着し、検温と消毒をして中に入ります。
大会慣れしていない親子は会場であたふた。ようやく受付をすませて対局席に着きます。
対局時、会場に親は入れず隣のホール兼昼食会場で待つことしかできません。
周りにいる強そうな子たちやこれから対局するであろう大人、中学生?高校生?をみて臆病な女の子は、顔が固まって今にも泣きそうになっています。
(6歳児、7歳児からみればみんな大人)
このままでは、将棋に集中して臨めないし、泣いて

もう帰る・・・
なんて言い出しかねません。

抽選会できっといいもの当たるから頑張ってみようね
と将棋の神様がいたら怒られそうな物欲で釣ります。
初めての女流アマ名人戦は、いつも通り泣き虫な女の子をやる気にさせる戦いからスタート。
ムアツプラス杯第53期女流アマ名人戦 対局開始
どうやら『女流アマ名人戦』の出場クラスはスイス式トーナメント制。
4連勝したら決勝戦。そして時計がありません。30分経過で時計設置されるようです。
これなら、焦らずに考えてから指せるのでうちの娘のような定跡をほとんど知らない・対局時計に慣れていない女の子も少しだけ何とかなるかもしれません。

時計は気にしなくていいから、ゆっくり楽しんでおいで
そんな言葉で送り出しましたが、親は心配で心配で楽しめません。正直、緊張のあまり吐きそうです
女流アマ名人戦 第1回戦 先手番
当然ながら振り駒はできず。対局相手の大きい子が振ります。
▲76步△34步▲26步△84步▲25步…と進み、横歩取りの局面になりました。
『棋士・藤井聡太の将棋トレーニング』で練習していると、最近横歩取りの形になるのでもしかしたら今一番慣れている形になったかもしれません。
緊張のあまり頭真っ白になって、盤上で何も指せず泣き出したらどうしようと心配でしたが、少しだけ知っている局面になった事で落ち着いて指せたようです。
もちろん、だからといって簡単に勝てるわけもなく20分ほどせめぎ合いで薄氷の勝利。
係の方に結果報告したあと、対局会場から戻ってきて

勝てたよ!
と笑顔でした。絶対、「初戦から二歩して大泣きしてご迷惑かけまくる」と想定していたので、勝ち負けよりも無事に戻ってきてくれた事でホッとします。
視線を対局会場に戻すと、30分経過で対局時計を設置されてる組が見えます。

ほら、もっとゆっくり考えてもいいんだよ。わからないところがあったら落ちついて考えてみようね

うん!
女流アマ名人戦 第2回戦 後手番
第2回戦は、元気そうな子が振り駒から勢いよく四間飛車でどんどん進軍してきます。右側から攻め込まれ敗色濃厚でしたが、何かで受けたようで相手の子の手が止まります。
そこから25分ほど経過して結果報告に向かいます。

いきなり攻めてきてわからなかったけど、時間いっぱい使ってエルモにしたよ!
とエルモ囲いでの勝利を教えてくれました。対局時間長めの大会なので、なんとか勝ち負けできているようです。
ここでちょうど12時。昼休憩時間になりました。
女流アマ名人戦 昼食休憩
対局会場の奥にある昼食会場
テーブルマークこども大会の時は、昼食をとる時間があまりありませんでしたが、今回『ムアツプラス杯女流アマ名人戦』の会場は、近くにはたくさんのコンビニもあり昼食時間にイベントもないので安心して軽食をとれます。
まだまだ保育園時代の名残で昼寝タイムには眠くなるようです。眠くならない程度、腹六分目ぐらいで午後の対局に備えることに。

棋士・藤井聡太の将棋トレーニングでレッスン中
休憩時間に詰め将棋や手筋、戦法書で備える子もいればお話でリラックスしている子もいます。
女の子は『棋士・藤井聡太の将棋トレーニング』で練習します。(ぱっと見、会場でゲームで遊んでるように見えますがちゃんと将棋をしてます)
女流アマ名人戦 第3回戦 先手番
3回戦の組み合わせを見た瞬間、これは勝てないと確信。というのも…第1回戦の対局開始からわずか3分程で勝利をあげた子がいました。駒の持ち方、駒音、指すスピード。素人目にも強い子だとわかります。
そんな強者が対局相手ですが、せめて楽しく戻ってきてくれれば…
と願い虚しく局面は開始早々、苦手な角交換が入ります。
(『棋士・藤井聡太の将棋トレーニング』の級位CPUは角交換をあまりしてきませんので、練習できていません)
どうしたら良いのか、どう対応するのが最善手なのか手探り状態で迷います。
そんな迷子状態に小さい女の子が耐えられるわけもなく10分少しで投了となりました。泣きながら

負けた… 角交換だった…
と教えてくれます。

負けてもいいんだよ、楽しく将棋ができればいいんだよ。今日は勉強に来たんだから。
と伝えても泣き止みません。…本泣きでご迷惑になるので廊下に出てなぐさめます。
大会出場前から気がかりだった角交換が出てきて、もしかしたら(練習しておけば…)と後悔で泣いていたのかもしれません。
泣き止まない娘に、ここは奥の手を使います。今回の『ムアツプラス杯女流アマ名人戦』はお楽しみ抽選があります。

きっといいのが当たるから行ってみようか?

…うん。
お楽しみ抽選会は特に時間は決められてなく、各自空き時間で参加できます。
以前の「女流アマ名人戦」のお楽しみ抽選会の賞品にあった「藤井聡太先生自筆詰将棋デザインバッグ付きムアツクッション」が目当てですが…

ムアツプラス杯第53期女流アマ名人戦 お楽しみ抽選会

ムアツプラス杯第53期女流アマ名人戦 棋士からの挑戦状
昭和西川株式会社様のMISSONI HOMEバスタオルやプロ棋士の直筆サイン入り色紙、マイナビ出版賞、ラッキー賞が並んでいます。実は、昭和西川賞の「ムアツプラスシートクッション(非売品)」は、「藤井聡太先生自筆詰将棋デザインバッグ付きムアツクッション」ではないのですが、それは秘密にしたまま伝えます。

まだムアツクッションあるよ? 何当たるかな? 行ってごらん。

パパ! ムアツクッション当たった!!
いつのまにか泣き止んでいます。「泣いた時のために抽選とっておく作戦」成功です。お楽しみ抽選会がなければ大変なところでした。『女流アマ名人戦』協賛品など参加者を喜ばせる多くの品々、本当にありがとうございます。
これで、次の対局にも臨めます。
また「棋士からの挑戦状」なるものもあり、正解者&当選者には天童市賞(特産品)やホテル花月園賞(宿泊券)などが当たるようです。
女流アマ名人戦 第4回戦 後手番
すっかり泣き止み、第4回戦の招集にも笑顔で向かいます。
四年生の年上の女の子は優しくて、振り駒したそうな目をしていたと思われる娘に「振り駒する?」と声をかけてくれました。

…ううん。いいです。
振り駒したい気持ちとルールを守りたい気持ちで葛藤があったと思いますが、我慢したみたいです。振り駒の結果、後手番。相手の子は中飛車で突撃しようとしてきます。
里見香奈女流四冠がよく中飛車をするそうで、相当な突破力があるのでしょう。そんな中飛車の威力をわからない初心者親子は、「中飛車がきたらとりあえず2枚銀で守ってみよう。」という作戦でした。
運よく中飛車の突破を阻止することができ、戻ってきた時の勝利報告は

大きくなったら振り駒する
でした^^;
ムアツプラス杯第53期女流アマ名人戦 対局結果
初めての『ムアツプラス杯第53期女流アマ名人戦』の参加結果は、3勝1敗でした。
持ち時間はなく、ゆっくり考えてから指せるルールに助けられのびのび指せたのが好成績に繋がったと思われます。逆に、持ち時間あり(5分30秒や10分30秒)だと焦って全敗もありえました。それぐらい時計を置かれるだけで弱くなります。
偶然にも決勝手前まで進むことができましたが、勝敗以上に高い壁を感じました。
そして優勝の行方は…第3回戦で対局した子がそのまま優勝を決めました。おめでとうございます。
対局してくれた皆様。対面対局が少ない小さい女の子にとって貴重な対局ばかりでした。ありがとうございました。
また『女流アマ名人戦』には教え子の応援にと各将棋教室の先生方も応援にきていたようです。
対戦状況を確認したり、今後のアドバイスなど貴重なお話をしているようでした。その中で、
- 全国大会で全勝・活躍するような子は、本人の才能、努力もさることながら環境が大事。入賞するような子の多くは、プロ棋士が講師をしている将棋教室の生徒さんだったり、将棋教室、将棋道場・研修会で切磋琢磨している
- 小学校団体戦に参加してみるのもいいかもしれない
といった内容のことを仰っておりました。
せめて学校に将棋部があって毎日将棋に触れられればいいのですが…

≪教頭先生≫
申し訳ないですけど、将棋部は学校にないんですよ。野球やサッカーとかも地域の有料のクラブでやってもらってます。
そもそもうちの小学校は部活動はしないので大会とか参加できないですし、この辺りで将棋をやってる小学校もないですよ。
学校に相談するも、小さい環境すら作ってあげられず…
ほぼ『棋士・藤井聡太の将棋トレーニング』でここまで来ましたが、この先どうすればよいのか…。少し考えさせられる大会となりました。
ムアツプラス杯第53期女流アマ名人戦 指導対局
対局が終わり指導対局に申し込みます。
当選したムアツプラスクッションで遊んでいると、名前が呼ばれました。初めてのプロ棋士との指導対局です。緊張しながら親子で席に向かいます。
中村太地先生は、指導対局初心者の親子にも優しく「指導対局について」から教えてくれました。
将棋初心者の女の子の稚拙な指し方も、最後には形になり

もっと教えてもらいたい!
とやる気に繋がったようです。
中村太地先生、本当にありがとうございました。中止・延期になる将棋大会が多い中、次の(指導対局がある)大会に向けて頑張るという目標ができました。
ムアツプラス杯第53期女流アマ名人戦 大会を終えて
全国から強い子達が集まる『女流アマ名人戦』で、ある程度将棋を指せたのは自信に繋がったと思いたいのですが、角交換から全く対応できず泣き崩れました。
「弱い部分がわかり早期に修正できる」と前向きに考えられれば良いのですが、ついこの間まで保育園でお昼寝していた6歳・7歳の子はまだそんなに早く心の切り替えはできないですよね。
今はいっぱい泣かせてなぐさめて寄り添ってあげたいと思います。
ムアツプラスクッション体験ブースでは、プロ棋士の対局で実際にすり減ってしまった座布団カバーを拝見。たった3ヶ月ほどで穴が空いてしまうほど負荷がかかるそうです。
ムアツプラスクッションのサポートがプロ棋士の対局の助けになっている部分もあるのかもしれません。そんな素晴らしいムアツプラスクッションですが、我が家では暫く対局相手(動物のぬいぐるみたち)の遊び場になりそうです^^;
私達親子のように、学校には将棋部がなく通える将棋教室も将棋道場も近くにない地方にお住まいの方々も多くいらっしゃるかもしれません。そんな方々に少しでも『女流アマ名人戦』という女流アマ将棋界最高峰の世界を少しでも伝えることができれば幸いです。
また、一方で私達親子のような将棋初心者が参加し申し訳ありませんでした。棋力も経験も足りなくご迷惑をおかけしたかもしれません。
ゆっくりとですが棋力をあげ初段を目指しつつも、将棋を楽しみながら成長していければと思います。
それでは、またどこかでお会いすることができましたら、やっぱり泣き虫な女の子共々何卒宜しくお願い致します。
