将棋少女 1年目を振り返って
「おでかけにゃーしょうぎ」の「歩ニャー」から本物の「将棋の駒」に持ち替えて頑張った、記念すべき将棋少女の第一歩、1年目でした。
「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」で、駒の種類・駒の動かし方を藤井聡太先生に教わり20級から開始。とりあえず銀をどんどん進める棒銀でストーリーをクリアする頃、突然参加したのが「さなる杯小学生名人戦」の予選大会。
今思えば、無謀すぎるスタート。初参加が、全国に繋がる大きすぎる大会。無知とは恐ろしい…。
もちろん、初参加で上手くいくわけもなく反則負けで大泣き。次なる大会(市民将棋大会)でも、一日に「二歩」という反則を二度記録で大泣き。(二歩姫の称号ゲット)
他にもたくさん泣きました。
でも、その全てが将棋が嫌いで泣いているのではなかったのが不思議。
パズルのように、うまくできなかった自分を責めて泣いていたような気がします。きっと「おでかけにゃーしょうぎ」の王様にゃーを捕まえる楽しさを今も追っているのかもしれません。
ですが…それは、あくまでコンピュータ相手にうまく指せた楽しさのようであって、「相手を打ち負かそう!」とは思えない娘は、やはり勝負事に向いていないと感じます。
実際のところ、道場に通っていない将棋少女は実戦経験も乏しく本格的に(プロ棋士を目指して)将棋を頑張っている子供とは比べるまでもなく弱いままです。むしろ、その差は広がっているかもしれません。
ある日の大会では、10級の子との対局で初めて見る指し手に混乱して、見事に手が止まって泣きそうでした。持ち時間が少ない子供の将棋大会。その中で、何を指していいかわからず1手に3分や5分もかかってしまうのでは、当然自分だけが先に時間がなくなりすぐ秒に追われ、時計の秒読みの音で泣いてしまいます。
また、4歳頃から将棋を始め小学1年生の頃にはもう初段・二段と段位を獲得している子もいるそうです。それに比べると、一周どころか二周も三周も遅れています。
そして、普段一緒に将棋をする友達がいないというのは相当のハンデというのがわかった一年でもありました。たくさんの対局をして失敗を繰り返して初めて強くなれる経験の部分が欠落しています。
もちろん、周りに将棋ができる環境がないというのはモチベーションの維持にもかなり影響します。小学校では将棋部を作るのは許可もらえず、一緒に将棋ができる友達もいないままです。将棋道場に通ったこともなく一緒に指してくれる友達もいない。そんな中でも興味を持ち続けるのは難しく、もしかしたらこのまま自然と将棋を指さなくなってしまうのかもしれません。
そんな中、TVや将棋本でみたことがあるプロ棋士の方に「ムアツプラス杯女流アマ名人戦」で会えたのは、モチベーションの部分においてかなり転機だったように思えます。それまで、将棋を指せる友達がいなくて黙々と「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」で将棋AIと対局するだけの日々だったのが、将棋を続けた先に繋がっている世界を少しだけ感じとったのかもしれません。
ただ、将棋を真剣に続けた先にあるプロ棋士・女流棋士になれるのはほんの一握りの人で、その道のりにはそれ相当の苦しさも待ち受けてるはずです。
将棋は、年に一回正月におじいちゃんの家に遊びに行ったときに対局するぐらいでいいのでは?そもそも、辛さを知る前に離れたほうが良いのでは?とも考えます。
その道のりが楽しいだけなはずはありません。将棋の世界に無知な親は、今日も迷っています。
将棋少女 変わらない将棋環境
この冬も3ヶ月程、対面で人との対局がないままでした。春までの5ヶ月でもたったの5局です。
あまりにも対局経験が少ないまま時が過ぎてしまいました。
1人で通える将棋教室・将棋道場が近くになく『棋士・藤井聡太の将棋トレーニング』等の将棋ソフトでの練習がほとんど。今日も級位AI相手に負けています。
毎日・毎週のように将棋教室や将棋道場に通い、指導を受け少しでも速く強くなろうと切磋琢磨している子供たちからみれば、取り組む姿勢も時間も足りず、強くなる速度も遅いのでしょう。
強くなるには甘すぎる親の意識と環境。それは…つまりは…
ランドセルと黄色い帽子が似合う小さい女の子が泣きながらも精一杯頑張っている姿は百点満点で、子供が進みたい道を整えてあげられない、泣かせてしまっている親(私)は0点ということです。
仕事を変えて引っ越しする覚悟、子供の才能を信じて将棋の世界に没頭させる覚悟がないだけの話。
娘には申し訳ない限り。

早く将棋教室に通わせてあげればいいのに…

早く将棋道場があるところに引っ越しして、毎日将棋ができる環境を整えてあげればいいのに…
仰るとおりかもしれません。
もし将来…

小さい頃もっと将棋に没頭したかった
と後悔させてしまったらそれは親である私の責任で

将棋は強くなったけど将棋を強要されて嫌だった
と感じられてもそれも親である私の責任です。
将棋環境を大幅に変えるべきなのか今の生活リズム・仕事を維持した方がよいのか判断が難しく…。娘と将棋との距離を見誤ることのないようにしたいと思います。
将棋少女 2年目の目標
「おでかけニャーしょうぎ」から始めた将棋少女は、周回遅れながらも将棋生活2年目に突入します。
未だに級位AIに泣かされてる日々ですが…毎日を楽しい日々にしてもらいたい。笑顔でいてほしいと願います。正月におじいちゃんをやっつける為だったり、帰ってくる父親に強くなったところを見せる為だったり、時々がんばって練習する程度で十分です。
苦しさを感じずに過ごしてくれればと願います。
将棋を知らない親が、ただ「強くなれ」「もっと練習しろ!」「一日10時間将棋漬けになれ!」
とは言えません。
ましてや女のコ。大きくなるにつれて色んな事に興味が湧いてオシャレにも目覚めるのでしょう。学校で周りの子供の話題に触れ、スポーツに目覚めるのかもしれません。
これからの将来、沢山の選択肢がある中でそれでも将棋を練習して楽しいと感じている間は、褒めて褒めて褒めまくって応援したいと思います。
今もまたまだ普通に二歩(反則負け)はでますし、初心者大会では少し勝てるようになってきましたが、今年は中級者大会に少しずつ挑戦予定。そうなると0勝もありえるわけで、とりあえず1勝できたと親子で安堵したいところです。
プロ棋士を目指す子は、ものすごいスピードで駆け上がるみたいなのですが、臆病で弱い将棋少女は一歩一歩進んでみます。
将棋少女 1年目の最後に
新型コロナウイルスの影響により、1月の大会も3月の大会も中止・延期になりまして、さらに地震の影響で別の大会会場が被害を受け大会中止、新幹線も不通で移動もままならない年度末を過ごしていますが…
娘と一緒の長い長い将棋旅行。
かけがえのない一緒にいれる時間を大事に、焦らず10年後の初段を目指して一緒にゆっくり歩んでみます。
そして、どこかの将棋大会会場でお会いすることがございましたら、久しぶりの人との対局に少し怯えながら駒を並べている姿を見守っていただければと存じます。